効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

廃熱の利用

いろいろな所で熱が発生し、利用されないで捨てられているものは多い。自動車のエンジンからの排気、熱くなった道路表面、日射で熱くなった屋根、自動車がブレーキをかけるときに発生する熱、熱くなるモーターの軸受けなど、考えればいろいろある。その温度の高さと、利用しやすいかどうかが鍵となる。これから熱を暖房や給湯に使う分野を広めると同時に、エネルギーとして優れていて利用範囲の広い電力に変える方法を考えなくてはならない。
船が使うエネルギーはあまり身近には感じられないが、海上安全研究所が中心となって、舶用ディーゼルエンジンから発生する排ガス(400℃程度)エネルギーを、スターリングエンジンを組み合わせることにより効率よく回収し、船内電源として活用するシステム、船舶用低温排熱回収システムを開発した。これは世界で初めてだそうだ。
船舶は港で停泊中にも小型のエンジンを駆動して必要な電力を発電する。そのときにエンジンから排出される燃焼ガスは大気汚染物質を含むため、この発生をできるだけ少なくすることが要請されている。そのため、航行中に駆動されるディーゼルエンジンの廃熱をスターリングエンジンを利用して発電してバッテリーに蓄電し、停泊中にはこのバッテリーから必要な電力を得ようとするものだ。今回実証テストされるのは、500ワットの発電ができるスターリングエンジンを3台使うものだ。このスターリングエンジン松下電器グループのベンチャー企業eスターが製作したもの。
400度という比較的低温の熱で発電効率はいくらくらいか、蓄電池の利用システムがどの程度広範な利用を期待できるか、舶用ディーゼルエンジンの効率が廃熱回収でどれほど上がるかなど、実績について詳しく知りたいものだ。この廃熱利用のコストが高いことは予想できるが、地球温暖化防止にはコストがかかることは当たり前なのだから、従来的発想の発電コスト、電力価格との比較いう単純な基準でコストを見るのではなく、環境対応として妥当なコストであるかどうかという考え方をするべきだろう。特に船のエネルギーシステムは地上のものとは別のものだから、面白いコスト比較ができるかもしれない。