効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

日本の総発電容量を低く見ておく方が

いまIAEAの職員が新潟の東電柏崎・刈羽原子力発電所内で地震が与えた影響について調査をしている。この結果によっては他の原子力発電所にも安全性を巡る見直しが余儀なくされるかも知れない。専門家の意見も様々だが、あれだけの地震の中で稼働していた原発がきっちりと止まったことは、止まって当然とはいえないだけにそれなりの評価をすべきだろう。しかし、そのことが直ちに稼働を再開して良いことにはならない。原子炉を納めてある建造物がびくともしなかったという表現が新聞などに散見するが、これは中にある原子炉が無傷であることの証明にはならない。人間が近づけないほどの放射能がある部位にも配管やポンプなどが数多く取り付けられている。配管は振動に弱い。これが損傷を受けていないかを遠隔からチェックするのは至難のことだ。現に堅牢であるはずのクレーンが壊れているのだから。
可能性の問題だが、ここ数年は現在稼働中の発電所の規模が最大で、さらに少なくなることもあると考えた方が良いのかも知れない。だとすると、できるだけ早く発電容量を増やして供給余力を増やす手だてを考えなくてはならない。その一つの手段として、コージェネレーション太陽光発電風力発電といった分散型発電設備を電力会社が主導して増設することも考えられる。また、一般企業に優遇策を準備して設置を奨励することも可能だ。分散型発電設備単体の規模は小さいが、標準化ができているために計画から設置までの期間が大型の発電所に比べて非常に短いし、環境評価なども簡単に済ませるから多くの設備を増設することができる。設備毎の投資額も小さくて済む。しかも炭酸ガス排出量がゼロであったり火力発電に比べて少ないものばかりという利点もある。
また、いま進められているように、大口の電力消費企業の協力を得てピーク時に工場の稼働を抑えたりする以外に、米国で行われているような、空調などの設備を止めたり設定温度を下げたりすると安い料金を適用するような料金制度を新たに準備した方が良いのではないだろうか。いままでは発電能力にかなりの余裕があったために、米国の電力事業のような電力供給への不安はほとんどなかった。しかし、それでは済まない状況になっていると想定した備えをする時ではなかろうか。しかも、建設された分散型発電設備は決して無駄にはならないし、大型発電設備のように一度に止まってしまうこともないために、供給安定性を向上させてくれる。発電設備の規模について再考する時が来たのだと思う。