効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

農業の新しい方向?

日経ビジネス誌を読んでいて面白い記事にぶつかった。「儲かる農家を育てる直売所」というタイトルで、つくば市にある農産品直売所、みずほ、を紹介している。
集客力と生産者の売り上げがともに増加しているのだそうだ。農業でこのような話をいままで聞いたことがなかったので、気持ちが明るくなった。
商品の価格は近くの巨大スーパーよりも高いのに来客数が多い。車で東京からも買いに来る人もいるとのこと。農産物の販売をここでする農家は、農作物の販売価格を自分で決める。その価格は1年間変わらない。そしてユニークなルールがある。同じ農作物を販売している人がいた場合、次の参入者はその人と同じか、より高い価格をつけるという決まりだ。みずほは生産者から販売額の15%を手数料として受け取る。そして、農産物を販売している生産者の収入も平均的な農家よりもはるかに高いとのこと。
日本には1万以上の直売所があるが、農家同士の競争が激しく、安売り競争に陥るのが普通だが、たたき合いを防ぐために価格設定にしばりをかけているのだ。これによって、価格競争ではなく品質競争を生む方向に向かったのだ。品質競争を徹底させるために、1品目2〜3農家と、意図的に複数の農家を参入させ、お互いに切磋琢磨して品質が上がるようにしている。そして、ノルマがあって、それを上回れば報奨金、下回れば罰金だ。
この直売所が設立された当社は「高い」と言われたが、値引きをしない方針を貫き、品質の良いものを作る農家を呼び込むことによって、顧客が定着し増加していったというのだ。
農産物の値段は本来品質や味とのかねあいで決まるべきものだが、季節感のなくなった農産物が当たり前になり、また、消費者にも味を見分ける能力が下がったこともあって、同じものなら安いものという、工業製品と同じような基準で農産物を買うようになってしまったのだ。
友人がいま家庭菜園をやっている。この間彼が、自分で作ったトマトを食べて、トマトがこんなに美味しいものだとは知らなかったと言っていたことが思い出される。トマトでもキュウリでも、手塩にかけて育てた野菜は促成栽培で作られたものとは味の質そのものが違うということを皆が分からなくなっているのだ。そのような野菜の味を経験しない世代が増えてしまったからだが、この直売所のようなこだわりに応える消費者が増えれば、農家が自分の作った農産物に誇りを持って値付けをし、安定した収入が得られるようになるだろう。そのような農家を育てる消費者が増えてほしい。