効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ユーグレナの続き

昨日ユーグレナについて書いたことに、親友からメールでコメントが届いた。発電所からの温排水によって、7度から8度の海水面の温度上昇域が周囲2kmくらいに広がるために、その水域の魚を始めとする生物の生存環境を変えることになる。そのために起こる海苔の養殖や漁業への影響に対する補償に多額の費用がかかるそうだ。この温排水と発電所からの排ガスを使ってユーグレナを育てるプールをこの海域に作ってやれば、問題のかなりの部分が緩和されるのではないかと言う趣旨だった。
中野先生の話の中にはこれに関わる部分もあった。数年前のことのようだが、火力発電所からの排ガス中の炭酸ガスを使ってユーグレナを育てる大きなプールを海域に作るというプロジェクトを国と電力会社に提案したそうだ。検討が行われたのではあったが、その設備費用としてメーカーが出したコストが2千億円という巨額だったために予算を準備することができず、結局日の目を見なかったとのこと。
この設備は火力発電所の排ガスを処理するのだから巨大にならざるを得ない。そして、太陽の光を十分受けるようにするためには、広い海面を覆うことになる。それがその海域の環境に何らかの影響を与えることは確実なので、将来これが実現の方向に行くとすれば、どのようにすれば折り合いが付くかよく考えないといけないだろう。しかし、この設備費用は少なからず大きすぎる気もするし、地球温暖化の影響が身近に感じられるようになっている現在、再検討する余地はあるのではないか。単に炭酸ガスの固定だけでなく、良質のタンパク源を大量に生み出すというダブル効果があるのだから。
ユーグレナは淡水で生きている。しかし、中野先生の話では若干の塩分も必要だそうだから、もともと栄養分が入っている海水をうまく利用できるとすれば、世界で海面に接している途上国にこの技術の開発移転を実施することもできる。家畜の飼料を作ることによって雇用を生みながら飢えをなくすることができるかも知れない。ユーグレナは健康に良い優れたサプリメント錠剤として現在高価で販売されている。これを安価なものにできれば、ユニセフが支援対象としている途上国の飢えと下痢で命を落としている子どもに与える栄養剤として、どれほど大きな貢献を日本がすることになるだろうか。