いま千葉県銚子沖および福岡県北九州市沖で洋上風力発電実証試験がNEDOのプロジェクトして進行中。そして国は昨年3月、(1)浮体式洋上風力発電(2)波の上下運動を電気に変える波力発電(3)潮の満ち引きを利用する潮流発電(4)海水の流れを利用する海流発電(5)表層の温かい水と深層の冷たい水の温度差を利用する海洋温度差発電――の5種類について自然条件などの要件を定め、漁業者の同意や海域を10年以上占用できることなどを条件に都道府県から公募した。これに対し、7県の11海域が実証フィールドに応募したと報道されている。政府は今夏をめどに洋上風力など5つの発電方式に対応した地点をそれぞれ1カ所以上選ぶ予定。実証フィールドに手を挙げたのは岩手、新潟、和歌山、佐賀、長崎、鹿児島、沖縄の各県。選定には企業など複数の利用者が見込まれることが条件の一つ。誘致が決まれば2014年度中にも実証事業が動き出す可能性もあり、各自治体は他県に比べた優位性を訴える。この報道で興味を惹かれたのが佐賀県。佐賀県は唐津市の加部島沖を候補海域とし、浮体式洋上風力と潮流で立候補したが、誘致のために立ち上げた協議会の会長には全国で唯一、地元漁協の代表が就任していることだ。海域も漁業者側に推薦してもらうなど、「地元の強い協力体制」(新エネルギー課)を前面に押し出している。これまで洋上風力発電普及には、地元漁業組合からの同意を得ることが最大の課題だと考えられてきた。もしこの佐賀県のケースで実証が行われ、地元漁協に確実なメリットが出ることが明確になると、これからのプロジェクト推進に大きな貢献となるだろう。