効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

夏の電力供給は大丈夫かと米国から問い合わせ

今朝到着していたメールの中に米国の友人からのものがあった。柏崎刈羽原子力発電所は世界最大規模のものだが、それが全面停止になって、蒸し暑さで知られる日本で急増する冷房需要に対応する電力供給ができるのか、という趣旨のもの。どのように返事しようかといま基本的な事実を収集している。
東電は、関電はじめ他の電力会社に応援を頼んだようだが、他社も原発にからんだ発電能力低下の問題を抱えているところもあるだけに、まず自社の顧客への供給を確保してから東電への支援をすることになるから、東電が今夏極めて心細い綱渡りをせざるを得ないことは確かだろう。だが他社も、たとえ東電管内であっても停電という事態になれば、電力供給の安定性に対する国民の信頼が一挙に下がってしまうために、東電への供給余力を確保するためにも、大口需要家に操業調整によって昼間の稼動を落とすように依頼したり、冷房使用時に温度設定を上げるだけでなく、冷房そのものを使わないように顧客全般を対象に広く呼びかけるような非常手段までとらなくてはならないかもしれない。市民がこのような緊急呼びかけにどれだけ応ずるかも問題となる。おそらく、なんで自分が進んでやる必要があるかという態度が主流となるだろうと思う。
米国の場合、一部の電力会社では、冷房を止めたら料金を割り引くというようなインセンティブを準備しているところもあるが、日本ではまだこのような制度は一般化していない。しかし、柏崎刈羽原発の停止が1年以上になるようなことがあれば、このような方策が真剣に議論されることになるやもしれない。
東電へ他の電力会社が支援する際にもう一つの問題がある。それは、東電に次ぐ大手である関電と中部電力が供給する電気の周波数が60ヘルツであるため、50ヘルツである東電を支援するためには周波数変換設備を経由しなくてはならず、その容量が最大限130万キロワット。ということは今度停止した柏崎刈羽原発の総発電能力821万キロワットに遠く及ばないということだ。また、北海道と本州の間を結ぶ電力系統の容量も確か60万キロワットしかないため、北海道からの支援にも制約がある。
何しろ東京電力が供給する電力量は、年間で日本全体の約3分の一(2206年度実績)だから、そのピーク需要に対応するのは簡単なことではない。電力会社を非難するだけでなく、ユーザーとして停電になるような事態を招かないために協力することも必要だろう。