効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

東京電力は冬にも供給に不安あり

今日の日経新聞は、関西電力新潟県中越沖地震の影響で柏崎刈羽原子力発電所が停止している東京電力に対し、今夏に続いて冬場の需要期にも電力を融通する方針を決めたと報道している。10月22日の日記に、日本も冬場に電力需要のピークが出始めているから、東京電力は大丈夫かという趣旨のことを書いたが、まさにその心配が当たっていると言うことだ。夏ほどの切迫感はないかも知れないが、気を緩めるとやばいだろう。
12月から来年の2月にかけて30万キロワット程度を融通するらしい。東電の場合、06年度の年間最大電力は7月に記録した5,806万キロワットだが、冬場のピークである今年1月も5,028万キロワットと夏場の約9割に達しているとのこと。電気のヒートポンプ空調が昨年よりかなり普及しているから、冬場の電力需要ピークはこれを上回ることは確実だろう。その上回り方は寒さの程度によるが、寒くなればなるほどヒートポンプの効率は下がるから、東電は難しい対応を迫られる。気候温暖化効果があれば楽になるかも知れないが、気候変動現象で厳寒にならないとも限らない。この融通は、両社の供給する電力の周波数が異なるために、東電と中部電力の間にある電力周波数変換設備を利用することになり、中部電力の供給網を経由する。中部電力も融通するだろうが、周波数変換能力上限100万キロワットが両社の支援の制約となる。
東北電力からの融通も行われるだろう。ここは周波数が同じだから直接送ることができるが、東北は寒さが厳しく暖房用の電力需要も増大するだろうから、支援能力にも限りがあるだろう。特に、暖房用灯油価格が上がっているために電気空調を使う率も上がるかも知れず、東北電力の全発電能力は東京電力に比べて遙かに小さいから、東北電力東京電力を結ぶ連系線能力が500万キロワットあるとしても、実体的には余裕があるとは言えないだろう。