効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

自然エネルギー導入と系統の安定性

今日はやっと秋が来たなという感じの一日でした。この一ヶ月は、暑さもありましたが、朝晴れていても夕方に土砂降りになることも多く、天気予報も当てになりませんでしたので、自転車で駅まで行くことを中断していたのです。しかし、今日から再開しました。ちょっとタイヤの圧力が下がっていたのですが、特に問題なく乗れたものの、いままで楽々とトップギアでも上れた坂道が、ギアを落とさないと上りにくいなど、脚力が落ちているのを実感させられました。
脚力も一種の自然エネルギーですが、その大御所である風力発電太陽光発電をこれから大規模に導入する方向に向かう日本として、それが既存の電力供給網にどのような影響があり、その対応にどの位コストがかかるかの検討が政府で開始されました。風力や太陽から得られる電力が気候の変化の影響を受けることは確かです。しかし、どの議論を見ても、通常の電力需要自体が大きく変動していることに一切触れていません。既存の発電所は既存負荷の変動に備えて、それも、予測できないことが起きても対応できるように大きな余裕を持って稼働しているのです。
「福田ビジョン」の中でCO2を排出しないゼロエミッション(ZE)電源の比率を高めるため、太陽光発電導入量を2020年までに05年の10倍の1400万キロワット、30年までに同40倍の5300万キロワットに引き上げる計画を明らかにしています。この数字を見ると大きく見えますが、これは全国に分散されて設置されますから、各拠点での変動に対応するのに系統に大きな手を加えないといけないのでしょうか。極端なことを言えば、新潟地震で柏崎・刈羽原子力発電所が止まったときに、一部定期検査で止まっていたものがあったとはいえ、数百万キロワットが一度に停止したにもかかわらず、東京電力は停電させることなく電力供給を続けることができたのです。ということは、新潟からの送電が止まった途端に、他の発電所が一斉に出力を上昇させてその不足分を補うことができたのです。それも数秒内にです。大規模発電所はそんなに急な立ち上げはできませんから、かなりの数の発電所が稼働状態にありながらフル運転はしていなかったから、このような瞬間的補充ができたのです。
よく、自然エネルギーの出力が減ったら石油を焚く発電所がそれを補わなくてはならないので、それに備えた発電所が必要であることを理解してほしいなどと言う電力業界の発言があります。発電所の出力を上げなくてはならないのはそのとおりですが、予備力の範囲であれば、少なくともここ10年ほどは発電所レベルでの補充は必要ないはずです。太陽が陰れば化石燃料の消費が増えるというのは確かですが、太陽が照ればそれだけ化石燃料の消費が少なくなることも言って貰わないと不公平です。末端の系統で変動する出力に対応した調整をする必要があることは認めますが、いまでも急に冷房や電子レンジのスイッチを入れるようなことで起きる需要変動対応の設備はあるのですから、大型風力発電とか、一基がメガワット(千キロワット)クラスの太陽光発電とかは別にして、分散設置される太陽電池のために新規の対応はほとんど必要ないでしょう。太陽光発電は家庭用の数キロワットが分散しているのが殆どですから、それを全部足して話しをしているのは、意図的にマイナスイメージを押しつけようとするものではないかと思います。全てにバッテリーを付けるなどと言う無駄な話にならないよう、政府の検討内容をこれからよくフォローしなければなりません。