効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

LNGの発電利用

東京電力柏崎刈羽原子力発電所にある7基の発電設備が地震で被った被害状況を確認するために停止して3か月。その容量減少を補うために火力発電所用の石油購入量が大きく増えるだろうと予測され、石油会社も対応していたと聞く。しかし、原油価格の高騰も影響してLNG液化天然ガス)で補う方向に東電は動いているようだ。LNGの価格は、原油価格の高騰の影響を受けてはいるが、長期輸入契約のものが多いし、その価格算定に原油価格が反映される計算式の方式の効果も働いて緩やかな価格上昇に留まっている。だから、原油よりも燃料としての価格は現時点で低い。しかもLNGを使うと火力発電所から排出される炭酸ガスの量は、石炭や石油を使うよりもかなり少なくなる。こうした状況の中で東電以外の電力会社もLNG依存を高めているのだろう。
LNGは都市ガスの原料でもある。いま都市ガス業界が輸入契約しているLNGの需給がタイトになっていると聞く。いままで重油ディーゼル油を使っていた業界が、石油系の製品の価格上昇と、炭酸ガス排出量を減らそうとする目的にはLNGを原料にする都市ガスを使う方向にシフトしているからだ。都市ガスを使って発電し、排熱を使って蒸気や湯を供給できるコージェネレーションの設置をしたいとする産業界の需用は高まっているが、大手の都市ガス会社でも、LNGの輸入量に制約があるためにすぐに対応するのが難しくなっているそうだ。
ガス協会の発表では、都市ガスを使ったコージェネレーション(熱電併給)は06年度に設置されたものが41万キロワットを超えたそうだ。累計では400万キロワットだというから、原発4基に匹敵する大きさになっている。これを一度に積み上げることはできないが、電力の需要が多いところに電力会社が自社の保有するLNGを燃料にしたコージェネレーションを設置して、ピーク時にはフル稼働して貰うような契約を今後結ぶようにしていけば、次第に緊急時にも対応しながら、通常には80パーセント前後の総合効率を発揮して炭酸ガスの排出を抑制できるようになる。現に中部電力の子会社が今までに約10万キロワットのガスコージェネレーションを設置している実績もあるから、これを増強して、電力会社の予備電源的にも使えるようにすることは可能だろう。