効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

太陽電池の面白い効率アップ新技術 

このところ太陽が照らない日が続いているため、太陽電池を取り付けている所では、明るければ多少の発電はするものの発電量がゼロに近い状態が続いていることだろう。近着の海外資料を眺めていたら、興味深い太陽電池の効率アップ技術が紹介されていた。
シリコンを素材とする太陽電池の表面は平滑であるが、これに細い溝を作り、狭い面積にたくさんの突起を作ったような構造にすることにより、入射する太陽光粒子の殆どを取り込んで発電に利用できるようにするものだ。この技術を開発したのは米国アトランタ州のジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)である。ナノテクを使って、40平方ミクロンの底面積で100ミクロンの高さのシリコン柱を10ミクロンずつ離して建てている。高層ビルがびっしりと林立しているとすれば、太陽が傾いても必ずどこかの建物は光を受けるし、真上に太陽があるよりも斜めに傾いた方が受光面積は増えるはずだ。また、建物から建物へ光が反射するから、入り込んだ光粒子を有効に利用することができる。このような形の微細構造にはカーボンナノチューブが縦に組み込まれているという。これは以前に紹介した小さい穴を表面に開ける日本の技術よりも進んだもののように思う。
従来形式の平滑な表面を持つ太陽電池は、太陽を反射してしまう比率が高いために効率アップに限界も出てくる。この柱構造の場合には光の反射を殆ど抑えることができる。また、いままでは、電池パネルの傾きを太陽の動きに追尾させることによって光粒子をできるだけ長い時間掴まえるように工夫していたが、その必要が全くなくなる。しかも柱が林立した構造だから表面積を大きく増やしたことになり、単位発電能力に必要な電池セルの大きさも重さもぐんと少なくすることができる。資料によると、宇宙衛星に取り付ける太陽電池としては理想的なものとなるらしい。いままでのものよりはるかに軽くて小さいし、太陽追尾が不必要となるからだ。
このような柱構造を作るのは、半導体集積回路技術がそのまま応用できるはずだ。ただ、この新技術が商品化されるには、微細な溝構造への表面処理など多くの課題を解決する必要はあるだろう。このような新しい技術が太陽光発電の普及をさらに促進するものとなってほしいと願うこと大である。
資料が紹介されたこの大学のホームページにある写真を借用してこのナノ構造がどのようなものかを見て貰うことにする。