効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

足取りの鈍い台風とまともにぶつかる祇園祭

梅雨の時期としては異例に大型の台風が日本を直撃している。しかもその移動速度が遅いために、予測されている九州上陸後日本を縦断するとすれば、直接的かつ物理的な被害が大きくなるだけでなく、ちょうど3連休に当たっているだけに、その経済的な損失も極めて大きいだろう。
その一つの例として言えるのが、京都最大の伝統行事といえる祇園祭に関連して発生する損失である。17日(火)に予定されている山鉾巡行までには台風が通過して晴天になることを願うばかりだが、今日14日から始まる宵山は、まだ風はないものの雨でその風情は完全に台無しとなる。夕方になって肩が触れあうばかりの人出の中を、浴衣を着て京都の大路を歩こうと全国から来た人たちの期待を裏切るばかりでなく、宿泊予約をキャンセル人も続出しているだろうから、京都の観光事業者の期待も大きく外れることになる。台風に弱い航空機に代わって観光客を移動させようと手ぐすねひいていた鉄道事業もあてが外れることになるだろう。
しかし、日本を縦断する台風が降らせる雨は、電力事業にとっては恵みとなる。ただし、送電線が切れるとか落雷で広域停電が起きるなどのことがなければという前提は入る。この冬の積雪量が少なかったために、発電用の貯水ダムは軒並みに平年より貯水量が減っていた。そのため、運用停止を余儀なくされている原子力発電所の影響も受ける電力会社は、夏の電力需要増大に備えるために、原発水力発電に頼れる度合いが小さくなっただけ、火力発電所の運転を例年より増やさなくてはならなくなっていた。だから、ずっと休止させていた火力発電所まで動員し始めた。休止させていた火力発電所発電効率が低いものが大半だから、原発が使えず水力も少ないのに加えて効率の低い火力発電に依存するために、炭酸ガス排出量が予定以上に増大するはずだった。しかし、もし台風の降らす雨のお陰でダムの能力一杯にまで貯水できるとすれば、夏の電力需要がピークとなる時に古い火力発電所を稼働させる度合いがかなり下がるだろう。水は天の恵みでタダだから財務的にも貢献するはずだ。原発が停まっていることによる損失を補うまでには行かないだろうが。