効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

米国カンサス州に風力発電増設のための高圧送電線建設

米国カンサス州で、数十万キロワットの風力発電を導入するために、34万5000ボルトの送電線を120マイル(170キロ)にわたって建設することが審議されていて、ほぼ認可されそうな段階に来ているそうだ。風力発電に適した場所と電力需要があるところを結ぶものだ。認可されれば2009年中に完成するという。
電気新聞の記事によると、米コンサルティング企業のエマージングエナジー・リサーチ(EER)は、国の政策支援措置や送電網の拡充により、米国の風力発電設備の累計設置容量が 2015年には06年実績比約4倍の4900万キロワットまで拡大するとの予測をまとめた。07年から15年の間、風力発電事業に650億ドル(約8兆 円)以上が投資され、世界シェアは19%近く(06年実績は15%、世界風力会議調べ)に高まると見込んでいるそうだ。米国の電力について、原子力発電建設が再開され、日本の電気マーカーがビジネスチャンスを掴むという話ばかりが報道されるが、米国は風力発電太陽光発電の拡充にも新しい施策を打ち出し、事業としての収益性が出るのが確実になっているために、今後この分野の規模が大きく伸びるだろう。カンサス州の計画もこの一環であることは確かだ。
これに対して日本の施策はどうなっているのだろうか。風力発電からの電力を電力会社が買い取る価格が低いために、事業として収益性が出るものが少ない。また、風力発電事業者が電力会社の幹線に接続する送電線の建設コストを負担しなければならないために、コストが上がってしまう。変動しやすい風力発電の欠点の解消に向けて電力会社が積極的に動いているとは見えない。など、など、日本で風力発電が大きく伸びる条件は備わっていない。
風力発電に適した地域を結んで日本を縦断する高圧直流送電幹線の建設など、国のプロジェクトで打ち出さないだろうか。直流というのは、日本が60ヘルツと50ヘルツ地域に分断されている悪条件を克服するためだ。直流の方が送電ロスもはるかに少ないこともある。送電インフラに国が直接関与する積極的な姿勢がなければ、世界の潮流である風力の利用拡充から完全に取り残されることになる。エネルギーのベストミックスと言いながら原発にばかり政府資金を流すのがベストではなかろう。