効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ジェイコブスの4大原則

昨日時間を作って溢れ始めた書棚の整理を始めた。だいぶ昔の資料などが出てきて、懐かしさもあってつい読み始めると止められなくなって、結局予定の半分も整理は進まなかった。最後まで読んでしまった資料に、サステイナブル・コミュニティー研究会という会合で宇沢弘文先生がなさった講演の要旨があって、自分がいま考えているコミュニティーを論じたものだった。
そこで紹介されているのが、ジェイコブスの4大原則である。これは、米国の建築家で都市問題研究家であるジェーン・ジェイコブスが1961年の著作で述べたもので、魅力的なコミュニティーを調べた結果、それに共通する特徴としてあげた4項目である。それは、

  • 街路が曲がっていて狭く、ブロックが短い。自動車が通りにくく、人々の通行が多い。
  • 仮に歴史的には価値がなくても、古い建物はできるだけ残す。新しい建物にすると魅力がなくなる。新しい建物からは新しいアイデアは生まれない。古い建物から新しいアイデアが生まれる。
  • ゾーニングをしてはいけない。一つの町は必ず二つ以上の機能を持っている。ゾーニングは、行政的立場から機械的に決められているだけで、人間を考慮していない。
  • 人口密度はできるだけ高い方が良い。

というものだ。
これは彼女が都市を社会的共通資本として考えていて、行政的・官僚的なルールがないところにもある程度のルールがあり、個々人が自由に生活していける街を社会的共通資本と考えている。この原則に沿って彼女は魅力的な都市を設計したが、彼女の理念は、近代都市の理念を具現化したと言われるル・コルビジェの「輝ける都市」のアンチテーゼとなっている。
宇沢先生のお話の一部だけの抜粋だが、各地に細い道があり、古い建物がある奈良の住人としては、なるほどと肯くばかりだった。いままで、直線道路が貫くル・コルビジェ的都市設計が横行していたが、それを見直す必要があるのではないか。梅田の再開発がどうなるのかは知らないが、奈良の都市再開発にはジェイコブスの4原則を取り入れて欲しいと思う。