国土交通省は多くの人が利用する大型店やホテル、病院などの施設から出る温暖化ガスを減らすため、省エネ基準を満たさない新しい大型建物の着工を段階的に規制する方針を打ち出している。来年には新しい基準に従って法改正が行われるはずだ。床面積が2千平方メートル以上の場合、2017年度から着工を原則認めない方針だという。床面積が2千平方メートル以上の病院や福祉施設、ホテル、飲食店が対象。これまで建築主の自主的な取り組みを促してきたが、建築物の二酸化炭素(CO2)排出量は増加の一途をたどっているため規制強化に転じ、温暖化ガスの排出抑制を急ぐ。13年度のCO2排出量を分野別にみると、建築物部門は1990年度比で71%増えた。産業部門(11%減)や運輸部門(2%増)より高い伸び率を示しており、国交省は建築主への努力義務にとどまる現行の省エネ法では実効性が不十分だと判断したのだ。一般住宅については省エネ基準に適合させると建築コストが5%程度上がるため、規制強化を急げば住宅市場に深刻な影響を与えると判断し、義務化は当面見送る方針だという。このような新築物件への規制強化に加えて、既築建物への対応策を奨励する何らかの制度的な取り組みも必要だと思う。是非検討してほしい。