効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ポルトガルの太陽光発電

送られてきたPowerという雑誌に興味ある記事を見付けた。ポルトガルリスボンから200キロのところにあるセルパ市に、現時点で世界最大規模の太陽光発電が運用を開始したというものだ。その規模は11,000キロワットというから、日本でいまテストされているもののほぼ10倍に相当する。太陽光発電は規模が大きくなっても集積効果があるわけではなく、規模に応じた面積を必要とするため、92エーカー(372,000平米)の地面に架台を設置し乗せてある。発電所面積は150エーカー(65万平米)というからまだ増設余地もありそうだ。太陽電池の素子は、サンパワー、三洋電気、シャープ、サンテック製のものが使われ、52,000枚のパネルが組み合わされている。1月には一部が稼働を始めたが、3月からフル稼働に入ったとのこと。ドイツにある世界第二のものより40%出力が多いそうだ。ポルトガルは太陽の光が豊かなところだし、太陽の動きに合わせてパネルの角度が変化するように設計されているから、日中はコンスタントにフル発電するだろう。その電力は全量が系統に販売される。
同じような設備を日本で作れるかというと、広大な設置場所を必要とするために簡単な話ではない。写真で見ると、設備は3つに分けられている。この一つを建設するのでも場所を見付けるのが難しそうだ。しかし、日本でこのように一カ所に固めて設置するのが良いかと言えば必ずしもそうではないかも知れない。1,000キロワット程度を単位として距離を置いて分散設置する方が、流れる雲に太陽が隠される事が多い日本の空を考えると、全体の発電量の変動を抑制する効果が出るだろう。このような分散設置を促進するために、新設ビルについては屋上や壁面を利用して太陽電池を設置することを義務づけるようにしても良いのではないか。オフィスビルは昼間の空調に電力を多く使うのを太陽光発電によって抑制できるために、ビルのオーナーにも電力会社にもメリットがあるからだ。個々の規模は大きくなくても、それが集合する効果は無視できないものになるはずだ。いま、日本の太陽光発電の規模拡大には急ブレーキがかかっていて、何かの施策が必要な段階に来ている。