効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

LNG発電所の新規建設

今日の日経新聞一面トップに、電力各社がLNG液化天然ガス)を燃料に使う火力発電所を相次ぎ新増設するという記事が出ている。炭酸ガス排出量が石炭・石油に比べ二酸化炭素(CO2)排出量が大幅に少ないという注釈付きだ。相次ぎが幾つかというと、今後5年間で計8カ所ということだから、何か背景になる事情があるはずだ。単に炭酸ガス排出量が低いからというだけではないと思う。少なからず原子力発電所の今後の新増設と、既設のものの運転の安定性について不安を抱いているからではないか。
LNG火力発電所は多分全部がコンバインドサイクルだろうから、発電効率は古い火力発電所発電効率を大幅に上回るものとなるはずだ。発電効率が高く、しかも炭酸ガス排出が少ない天然ガスを使うのだから、大幅に炭酸ガス排出量を減らせることになり、地球温暖化防止に貢献する姿勢を示すことができることは確かだ。しかも、火力発電所の場合、原子力発電所のように、一つのトラブルが長期停止や、同じ形式のものが点検のために巻き添えで止めざるを得なくなるということがなく、極めて信頼性の高い発電所となり、さらに、フル稼働が要求される原発と違って、負荷変動への追従も容易にできるという特性を持っている。
今回の動きは、電力会社が原子力発電所の将来に一定の危機感を持っていることの表れではないかと思える。相次ぐトラブル(あえて事故とは言わない)隠しによって、大きく社会からの信頼感を失った原発が、現在の予定通り新増設できるとは誰も思っていないだろう。とすれば、どのようにして原発が担うべき発電を肩代わりさせるかを考えなければ、至上命令である供給の安定性を確保できなくなる。今後検討すべきは、原子力発電よりも、石炭をガス化してコンバインドサイクルで発電させる技術を実用化することではないか。その方が原発より見通しが立てやすいのではないか。石炭は炭酸ガス排出が大きいが、効率の高い発電方式でkWhあたりの炭酸ガス排出量を相対的に低くすることができるし、近い将来炭酸ガス回収技術も実用化するかも知れないからだ。