効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

米国のヒートポンプ給湯器

日本ではオール電化ハウスの普及が、特に地方で急速に進んでいる。中国、四国地域では、最近の新築一戸建ちの半数がオール電化ハウスだそうだ。そのきっかけは、ヒートポンプ給湯器の普及に電力会社が特別の料金設定をしたのと、IH(電磁誘導型)クッキングヒーターが登場したからだ。ガス会社の最後の砦ともいうべき給湯と調理の分野が完全にガスから離れてしまう事態に、巻き返しを図ろうとしているが、なかなか決め球がないのが実情だろう。
米国でヒートポンプ給湯器は、エネルギー政策法2005で助成策も盛り込まれているが、普及しようとしているのだろうか。米国では電熱をつかった電気給湯器は昔からあって、冬にも電力負荷のピークが出る一つの要因となっている。米国政府は、電気給湯器をはるかに効率が高いヒートポンプ給湯器に変えさせようとしているのだが、どうも思ったほどのスピードで普及していないらしい。電気給湯器なら、この新しい給湯器はそのまま置き換えることができるので、販促は容易ではないかと思えるのだが。E Sourceのレポートでは、この新しい機器の流通が、メーカー、販売店、取付業者、配管事業者などが入り組んでいて複雑で、政府施策のメリットをどのように取り込むかについての当事者意識が少ないところに一つの原因があるようだ。また、面白いことに、既存の電気給湯器の半分ほどが、DIYショップで購入して自分で取り付けたものであると推定されていて、ここへどのようにして販売攻勢をかけるかの戦略主体が曖昧になっているからでもあるようだ。それに加えて本体価格が従来の物に比べてかなり高いために、効率の高さでコスト回収は数年でできるとしても、取替意欲を殺いでしまうのだそうだ。
電力会社にとっては冬のピーク負荷を下げる効果があるはずなのだが、これまでのところ必ずしもこの普及に積極的ではないらしい。夏のピークとは事情が違うのかも知れない。しかし、今後電力需給が逼迫してくると、この姿勢は急激に変わる可能性もあるだろう。