効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

Fuel Cell Energy社のプレス発表

Fuel Cell Energy(フューエルセル・エナジー社)からのメールが入ってきた。同社は、溶融炭酸塩電解質燃料電池で世界のトップを走る開発・製造会社で、そのMCFC250kWユニットは日本でも10基前後が稼働している。今日のメールは、同社がVersa Power Systems Inc(ヴァーサパワー・システム社)と共同開発した固体酸化物電解質燃料電池SOFC)で3〜10kWのプロトタイプユニットが米国エネルギー省(DOE)の性能テストに予定されたより早く良い成績を出して成功したというものである。稼働時間は2,100時間だそうだ。さらにDOEに移設されてさらに1,600時間のテストされるとのこと。
米国のエネルギー省は、Solid State Energy Conversion Alliance(SECA)という開発組織を作っており、これにこの2社が選ばれて参加しているらしい。この組織は、SOFC技術を使って、クリーンコールで数千キロワットの発電をする設備を開発するためのものだという。今回のテストユニットはこの組織からの資金で建設されテストされたようだ。米国エネルギー省は、2012年には石炭ベースのSOFC発電設備を商用化することができると考えているらしい。
このメールは、米国が世界の石炭資源の25%を保有していて、米国の電力の半分以上は石炭火力からだと述べている。ここから出る炭酸ガスが、地球温暖化を促進することになることは当然のことだろう。もしこのSOFC発電システムが実用化されれば、この発電効率が50%を越える可能性があるだけに、炭酸ガス排出削減に大きく貢献することになる。
Fuel Cell Energy社がSOFCの開発をしていたというのは知らなかっただけにこのメールは驚きだった。この2社の他にGE Hybrid Power Generation SystemとSiemens Power Generation Inc.がこの組織に入って開発をしているようだ。Fuel Cell Energyは、溶融炭酸塩型燃料電池が石炭ガスに馴染みやすいために石炭ガスの経験が豊富であることがこの成果の背景にあるのかもしれない。
このニュースレリースの末尾に、この内容はかなり将来について予測が多いことを理解しておいてほしいといういわば警告が出ていて、将来このSOFCシステムが必ず実現すると考えないようにと釘を刺している。情報に対する訴訟が起きないようにとの配慮だと思うが、広報のリスク配慮が少し日本と違うなと思った。
このプレスレリースは、http://www.corporate-ir.net/ireye/ir_site.zhtml?ticker=fcel&script=410&layout=-6&item_id=989377
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