今日米国のNREL(国立再生可能エネルギー研究所)からメール情報が入ってきた。同研究所が、全米の電力会社でグリーン電力の販売上位10社を発表したのだ。米国では600社以上の電力会社が、強制ではなく任意で風力や太陽光発電、地熱、バイオマスからの発電などを顧客に販売している。電力に色が付いているわけではないから、実際にどれだけグリーン電力が発電されたかをGreen-eという第三者認証機関が認定している。
グリーン電力は通常の電力より高い。その価格差は、電力会社によって異なる。E Sourceのレポートを読んでいると、高いグリーン電力をいかに拡販するかに電力会社が知恵を絞っているのが分かる。自社が建設したり、グリーン電力事業者から購入する風力や太陽設備からの電力が売れなければ、経営にも影響するからだ。また、それが電力会社の社会的評価にも影響するようだ。このトップ10は、グリーン電力の販売量、対象顧客数、全顧客数に対するグリーン電力購入顧客の比率、価格をどれだけ安くする努力をしているかなどのカテゴリー別に見ているそうだ。販売量が一番多いのは、テキサス州のオースチン・エナジーで、二番目がポートランド・ゼネラル・エレクトリック。グリーン電力顧客比率がもっとも高いのは、パロアルト市電力公社(カリフォルニア)、レノックス市電力公社(アイオワ)などだという。
そのランク付けは
http://www.eere.energy.gov/greenpower/resources/tables/topten.shtml で分かる。NRELによれば、このようなトップ事業を先頭に、グリーン電力の販売量はここ数年拡大を続けているという。ちなみに、2006年のグリーン電力販売量は05年の30%増だというから半端なものではない。
ドイツのような固定価格買取ができなくても、このような方式で電力会社自体がグリーン電力を販売することは可能なはずだ。しかし、日本では原子力発電の比率拡大を目指して、深夜電力やオール電化料金に見られるような安売りをすることで夜間の需要を高めることに汲々としてきた。それが最近のトラブル隠しで信頼感が落ちた状況を見ると、これから炭酸ガスを排出しないという旗印を掲げた原発容量を増加させるのはまず無理と考える方が妥当だろう。
とすれば、日本でも存在するグリーン認証システムをもっと拡充して、電力会社に販売を義務づけるのがとるべき施策だろう。グリーン電力の源である風力発電、太陽光発電、バイオマス発電は分散型発電だから、計画して2〜3年で稼働を始める。原子力発電のように10年以上かかるのとは大きく違う。エネルギー政策の舵取りを大きく変える時期に来たと言うべきだろう。