一昨日電力のピーク対応として太陽電池が有効だと書いた。いままでは、シリコンを素材としてものが主流だったが、それ以外の素材を使うものがつぎつぎに登場している。有機物である色素とか金属を素材としてものなどである。フィルムのように曲げられるものもある。シリコン素材に比べて発電効率は若干落ちるようだが、価格が大幅に低くなるとすれば、発電効率の低さを補って競争力を持つようになれる。また、いまシリコンが半導体への利用で不足しているのを補完することもできる。
この開発初期段階では、当然価格は高いはずだ。太陽電池の普及を促進するために、家庭用について一昨年まで政府の補助があった。ところが十分価格が下がったという理由でその補助を打ち切って、大型のものに限って補助をする方向になってしまった。再生可能エネルギーを増やさなければならないという切羽詰まった状況にありながら、まったく逆の方向に向かっていると言える。直接税金を補助金として使うよりも、現在の太陽電池の価格を5年程度で回収できるような値段で、発電された電力を売れるような制度を作れば、補助金などなくても普及は大きく促進されるはずだ。
太陽電池の設備コストが下がるにつれて売れる電力の価格は下げていくという前提で、電力会社に買取を義務づけ、そのコストは全体の電力コストにそのまま転嫁できるようにすれば、結局は間接的に国民が払う税金と同じになる。地球温暖化に対応することはいわば国民の義務のようなものだから、国民全体で薄く広く負担する(毎月の電気代は目に見えるほど上がるとは考えられない)ことには合理性があるはずだ。電力会社は太陽電池の普及が進むにつれて系統運用がいままでのようにいかなくなるかもしれないので、その対応策は必要かも知れない。しかし、毎日のピーク負荷を抑えて貰えることで、コストとしてはおつりが来るくらいのメリットがあるはずだ。
やはり、自然エネルギーからの電力を若干高い固定価格で買い取る制度を早く実現させなければ、温暖化対応に向けた政府目標の達成は難しいだろう。