効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

バイオガスが有効利用できない日本

大規模に養豚事業を行っているところで、大量に出る糞尿の処理をメタン発酵で行っている。このガスを使って発電を計画し、ドイツのガスエンジンを導入して発電を行ったが、トラブルがある時の対応が外国産であるためにスムーズに行かず、結局エンジンを止めてしまい、できた膨大な量のメタンガスは焼却されている。
このガスを再度発電に使えないかの検討会に顔を出した。いままでにもいろいろな検討を繰り返した経過があるようだが、民間事業としては、補助金なしでも赤字にならない程度の発電単価が実現できなければ、着手できないというのは良く分かる考え方だ。検討過程を聞いていて、これほど大量のガスを、燃料としてのコストをゼロにして計算しても、電力会社から購入する電力よりも高くなってしまうのだそうだ。特に国産のエンジンを使うと、まずコストが高く、また、メンテナンスコストも高いためだという。ヨーロッパでは畜産糞尿のメタン発酵が盛んで、それに対応したエンジンがいろいろあるそうだ。しかし、ヨーロッパの場合、メンテのかなりの部分を、畜産事業者が自分でやることを前提にしているという。故障すれば、部品を入手して自分で直してしまうのが常識だそうだ。だからコストも安い。しかし、これを日本に輸入すると、まず部品の入手に時間とコストがかかり、部品が入っても自分で直せる技術力が畜産事業者にはないから、日本の修理業者に頼むと高くつく。結局総コストが大きくなりすぎるのだ。
ドイツを代表としてヨーロッパでは、このような再生可能エネルギーからの発電電力は、通常の電力の2倍ほどで電力会社が買い取る制度が定着している。日本ではこのような規模のバイオガスでも事業として成立しない。一方では炭酸ガス排出を減らすのに有効な方策が見つからないと言われている。何かがおかしいと言わざるを得ない。政府が一向にその気にならない再生可能エネルギー発電の固定価格買取制度の導入を真剣に検討すべきだろう。何しろ、炭酸ガスを排出しないというお題目の原発に大きな陰が出ているのだから。補助金だけでなく、基本的に環境負荷を下げる価値の高いエネルギーを高く買うようにすれば、新しい市場が生まれて拡大するだろう。新しい雇用も生まれるはずだ。