効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ドイツの再生可能エネルギー

午後から思い立ってテニスにでかけた。地域の県民センターを利用させて貰って、発足以来40年も経過した由緒ある地域の市民クラブで、メンバーは家族単位。勝ち負けより楽しくプレーをすることを重視している。メンバーがコートの確保を交代でし、会費でボールも支給される。シニアの数が増えて、ウイークデーにプレーする人も増えている。今日は晴天だが冷たい風が強く、いつも以上に思ったところにボールが行かなかったが、1時間楽しんできた。本当は最後までプレーして、コート整備もしなくてはならないのだが、することもあったし、あまりにも寒いので失礼した次第。
帰って机の上にあった資料を見ていたら、ドイツの再生可能エネルギーが想定以上のテンポで伸びているという情報だった。ドイツ環境省の発表だが、2010年の目標として設定しているのは、電力供給量の12.5%を再生可能エネルギーにするという数字だが、おそらく今年にはそれを上回るだろうということだ。一次エネルギーに占める再生可能エネルギーのシェアも、2010年の目標である4.2%をすでに抜いて5.3%になったという。同環境省の予測では、2020年の一次エネルギーに占める再生可能エネルギーのシェアは16%に達し、これはEUの提案する平均20%という目標を少し下回る数字となる。ドイツはさらに積極的に再生可能エネルギーの普及に力を入れ、原発に代替させていくとしている。再生可能エネルギーからの発電量は、毎年一基の原発発電量に匹敵するものが増えているとのことだ。
同じ調査で、2030年の電力消費の45%が再生可能エネルギーからで、2050年には77%になるそうだ。2050年の総エネルギー需要の50%が再生可能エネルギーからになり、それにエネルギー効率向上を上乗せすると、2050年には温暖化ガスの排出量を80%引き下げることができるとも述べている。
そしてさらに興味をひくのは、再生可能エネルギー関連の仕事についている人の数が現在214,000人になっているということだ。このような驚くような結果を生んでいるのは、ドイツが再生可能エネルギーからの電力を、政府が高く設定した価格で買い取ることを電力会社に義務づけているからである。再生可能エネルギーの典型である風力発電太陽光発電バイオマス発電などはそれぞれに設定価格がことなるが、その価格設定は、それぞれの発電事業者が儲かるようになされている。個人が太陽電池を屋根に付けても、明らかに儲かるのだから競って設置する。風力発電事業者も事業が成りたつのだから頑張ることになる。日本とは大きく異なるエネルギー市場となっているのだ。
ヨーロッパ諸国の送配電網は相互に繋がっている。日本の電力事業者は、ヨーロッパの一体化した送配電網の容量が大きいから、ドイツは再生可能エネルギーの拡張ができるのであって、いわば、フランスの原子力発電に依存しながら自国の原発をなくしていこうという勝手ができるのだとよく言う。電気が常時国をまたがって流れているからドイツの再生可能エネルギー政策が実現できるのだというのはそうかもしれないが、地球温暖化防止に向かうEU諸国が基本的に同意しているわけで、ドイツが非難されているとは聞いたことがない。日本は電力会社間の電力流通も極めて限定された量しか実現できないために、風力発電の受入量がすでに限界に来ているとよく言われる。しかし、技術的にその流通量を増やすことは可能であることは明白であって、後は経済的、政治的にそれを実現する方策を考える知恵がないのだ。これは電力会社だけで負担するべきものではなく、電気料金を経由して国民全体で負担すべきものだと思っている。消費者全体で負担する方法を政策的に合意できれば、送配電網を日本全国どこにでも電気を移送できるようにして、再生可能エネルギーの受入を増やすことはできるはずだ。特に今回のトラブルからして言えるように、原発依存に赤信号がともっている現状を見ると、もっと真剣な対応が必要だろう。