効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

スターン・レビュー

今日午後、CASA(地球環境と大気汚染を考える市民会議)が開催した「スターン・レビュー」勉強会に参加するために森ノ宮まででかける。1時の開会にぎりぎりだったので、到着したときにはほぼ満席で一番後ろに何とか席を見つけることができたのはよかったが、これだけ地球温暖化に市民の関心があるのだなと改めて思った次第。
地球温暖化防止を経済学の角度で見たスターン・レビューを解説して下さったのは、数年前、関西学院大学総合政策研究科で客員教授として修士学生指導を一緒にやらせて貰った天野明兵庫県立大学副学長。膨大な原典を読み解いて下さった。自分には原典を読み通すだけのエネルギーがなかったので、この機会に勉強をと思ったのだが、本当に理解できたかどうか心許ない。
ともかく、このレポートがいっているのは、早く炭酸ガス排出量を減らすことに着手することが、温暖化による被害を防ぐための費用が相対的に少なくなるということだ。
今日の新聞は、EUが2020年に再生可能エネルギーが全エネルギー消費に占める割合を20%にするという方針を打ち出したと告げている。これを各国ベースに落とし込むにはまだ紆余曲折はあるだろうが、方向は明確に示されたと言える。京都議定書を批准しなかった米国も、州レベル、企業レベルで真剣に炭酸ガス排出抑制に向けた活動が進展はじめている。日本はどうだろうか。天野先生も会合でコメントされたが、日本は何も具体的な施策が実現していない。早くできる施策といえば、風力、太陽光をはじめとする再生可能エネルギーの利用が事業として利のあるような市場を作り出すことと、効エネルギーである建物の断熱、コージェネレーションのような排熱利用が収益に結びつく施策の推進だろう。政府や電力業界が力説する原子力発電による炭酸ガス排出抑制は、核の問題は無視しても、あまりに時間がかかりすぎる。いまある原子力発電は安全に運転して貰いながら、新規の原発建設に要する投資を、再生可能エネルギーを作り出すために使う方向に行かなければ、おそらく世界の温暖化防止対策の流れから脱落するのは確実だろう。世界からの非難を受けて始めて、ということは、外圧があって始めてといういつものパターンで動くことになるのだろうか。日本企業が炭酸ガス排出権を入手するニュースが最近よく見られるが、日本にこの排出権を売買する市場が政府ベースではできていないのだから、EUの取引市場に参加することはできないと天野先生は言われた。政府のイニシアティブを期待する方がいけないのだろうか。