効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■IEAのWorld Energy Outlook

IEA(国際エネルギー機関)が恒例の世界のエネルギー情勢分析報告書を出している。他に再エネ関連などのレポートも出ているが、とりあえず全体的なエネルギー市場の状況を眺めて見ることにする。

概要の冒頭に示されているのは、昨今の世界エネルギー情勢は大混乱に陥っていて、先行きを見透すことも難しくなっているという現状分析だ。昨年2月にロシアがウクライナに侵攻して以来、従来の市場分析手法では今後がどのようになるかが分からなくなっていると述べている。今年に入っても混乱状況は続いていて、世界のエネルギー価格も急上昇している。それに加えて、急速な経済成長をしている中国のエネルギー需要が急拡大し、世界市場に大きな影響を与えている。IEAがもっとも心配しているのは発展途上国への影響のようだ。

再エネ危機と言われていることについては、これは誤った解釈だとしている。クリーンエネルギーの開発に成功すれば、現状打破に貢献することは確かだからだ。英米、それに日本も加えた先進国が、さまざまな新しい促進策を導入して、再エネを拡充しようとしていることは、将来への希望を与えてくれるとしている。ただ、地政学上の対立や混乱が続けば、この希望が達成される時期はずっと先になるともしている。これを避けるためには世界的な協調体制を強化する必要があるとし、特に寒波が毎年襲来している欧州諸国間で、緊密な連携が推進されなくては、社会的な混乱が世界に波及する可能性もあるとしている。

IEAは、エネルギー市場の混乱を避けるための中核的存在として機能する必要があるとの姿勢を表明しているが、それが実際に効果を発揮するかどうかは、今年のエネルギー市場、ウクライナ情勢、ロシアのエネルギー政策がどのように動くかに支配されることは確かだろう。見通しが立てにくいことに変わりはない。

 

World Energy Outlook 2022 – Analysis - IEA

 

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