効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■回収したCO2を海外へ

大阪ガス三菱重工が、化石燃料の燃焼から出るCO2を海外に輸送し、そこでメタン合成の原料にしたり、地下埋設をする、などを実用化しようとしているようだ。再生可能エネルギーによる発電からの電力が日本国内に豊富にあれば、また、日本列島の地殻構造が安定していれば、このような方策をとる必要はないはずだが、国内ではこれが十分ではないことから、回収したCO2を海外で処理しようとしているのだろう。

ガスエネルギー新聞に報じられているのだが、大阪ガスがCO2貯留技術を持っていることを初めて知った。何かに吸収させて固定するのだろうか。また、メタン合成(メタネーション)の技術が十分に完成したのだろうか。まだ実験段階だと理解していたが、オーストラリアなど再エネが豊富なところで、メタン合成を大規模に行うことによって、それを液化天然ガスLNG)の形で日本に持ち込むのだろう。

三菱重工は、CO2回収・液化技術を持っている。液化CO2の輸送船の建造はお手の物だろう。LNG船の技術が殆どそのまま利用できるはずだ。

両社は、CO2排出削減が難しい鉄鋼・セメント・化学などの産業分野からの回収方策や、船舶によるCO2輸送の課題などを検討すると記事にあるが、そこには発電事業が入っていない。これは電力事業がやるべき事だという意味だろうか。溶鉱炉で石炭を使う鉄鋼事業からの排ガスからCO2を回収するのは、まだ実用化の段階にはないし、鉄鋼事業自体が回収すべきものだが、その後工程をこの2社が担うのだろうか。

グリーン水素と回収したCO2を合成してメタンを作るメタネーションは、他で排出されたCO2を利用して都市ガス用のメタンを作ることになるから、その量が増えると、LNGの輸入量の削減効果はある。しかし、メタン主体の都市ガスからはCO2が排出されるから、合成メタンでもそれは同じことになる。いずれは、都市ガスメタンから排出されるCO2の吸収固定も要請されるかもしれない。

とはいえ、他産業の排出するCO2を削減できただけ、日本としてのCO2排出量は減る効果があるのは確かだが、社会一般がそれをどの程度評価してくれるだろうか。

 

 

 

 

 

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