移動用の機器の駆動装置に水素を使うという発想は古くからあり、倉庫のフォークリフトに水素燃料電池を設置して稼働させるという方式はかなり前に実用化されている。これに消費される水素の量は大きくはなかったが、最近の報道で頻繁に報じられるようになった航空機や大型の船舶のエンジンに利用するとなると、その必要量も多くなるし、供給拠点も分散させて、いわば世界中に設置する必要がある。しかし、そのような移動体が水素を利用することにより、現在消費している化石燃料から排出される炭酸ガスを削減しようとする計画が実現しつつある。
英ロールス・ロイスは28日、水素で航空機エンジンを動かす試験に世界で初めて成功したと発表したと報じられている。プロペラ機や軍用機などに使われるロールス・ロイス製AE2100-Aを改造したエンジンを、水素で動かした。両社は2回目の試験を計画しているほか、飛行試験を目指している。プロペラ機のようだから、ピストンエンジンに水素が使われたようだ。今回は地上での試験だが、飛行試験となると、水素燃料を搭載できる機体の開発も並行して進めなければならない。かなり難度の高い試験飛行となる。
航空機業界で水素を燃料に使うとなると、機体の数は当面少ないだろうが、グリーン水素を売りにするだろうから、再エネを使った電力による水素製造が拡大しなければ、コストの問題は別にしても、商業的利用は難しい。ロールス・ロイスは風力と潮力発電で作られたグリーン水素を燃料としているとのことだが、英国の風力発電は全電力の20%ほどにまでなっているはずだから十分な量を確保できるが、潮力発電が現状どの程度になっているかを調べて見た。
2016年に、英北部スコットランドで、潮の流れを利用した潮力発電が本格的に始動する見通しとなったと報じられている。潮力発電事業を専門とする英アトランティス・リソーシズはこの年の9月中旬、計画中の世界最大規模の発電施設で用いる発電用タービンの組み立てを完了。近く海底に設置し、年内にも送電を始める予定だ。再生可能エネルギーの新たな電力供給源である潮力が、実験段階から商用化へと大きく前進する。1基あたり1.5メガワットの発電能力を持つ4つのタービンが設置されている。
最近では2021年7月に報じられた潮力発電がある。潮力発電タービン技術を開発するスコットランドのOrbital Marine Powerは、2021年4月24日、2MWタービン「Orbital O2(O2)」がダンディー港からの進水に成功したと発表している。O2は試運転が行われた後、スコットランド オークニー諸島のヨーロッパ海洋エネルギーセンター(EMEC)に接合され、「世界中で運用する設備で最も強力な潮力発電タービンとなる」(同社)という。
これらの潮力発電設備に水電解水素製造設備を設置すれば、航空機用に十分な水素が継続的に供給することはできるだろう。
風力・潮力双方の課題は、発電設備拠点から飛行場までの水素輸送チャネルの確立になるだろう。
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