効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

食品廃棄物のガス化発電

このところ食品廃棄物のガス化プロジェクトが幾つか具体化されている。JR東日本とか三菱マテリアルなどがつい最近発表している。選別の必要が少ない食品廃棄物は、メタン発酵させるシステムがシンプルで、以前からこの分野が伸びないかと期待していたのだが、やっと流れが生まれたという感じがする。
かなり昔、堺近辺の養豚農家を訪問したときに、関西空港に幾つもあるレストランと契約して、特定のゴミ箱に廃棄食品を入れて貰って豚の餌にし、残ったものはメタン発酵させて出来たガスを燃やして熱として使っていた。レストランからの廃棄物は、分別の必要がないものだけと契約していた。
同じような事例は幾つもあるはずだが、それを発電に使うプロジェクトが増えてきたのは、固定価格買取制度で39円/kWhと高く売れるからであることは確かだ。
環境省の発表によると、2015年度の食品廃棄物の量は2842万トンと推計されているが、このうち一部は飼料や肥料としてリサイクルされているものの、大半が焼却処分されているといわれている。
ただ、このプロジェクトが円滑に進展するためには、食品以外のものをゴミとして入れないようにするレストランなどの協力が必要となる。また、メタン発酵は、発酵菌という生き物を利用するだけに、そのお守りをするのが重要な業務となる。また、投入量で決まるガスの発生量が、それを使った発電や熱利用とほぼ一致できるような物のフローを構築することも重要な決め手となる。その後に残る汚泥を肥料にして有価物として流通させる仕組みも必要となる。
大手事業者がこの分野に進出してくれれば、食材の無駄を大きく引き下げることができる。これの事業性が確保できるような将来を見透した制度設計と支援策がなければあだ花ともなりかねない。