日本が消費している天然ガスは、殆どがLNGとして海外から輸入されている。だが、僅かではあるが、国産の天然ガスもある。国内では、新潟県、千葉県、北海道、秋田県、宮崎県などで天然ガスの生産を行っており、2019年末現在、石油・天然ガス鉱山は60鉱山存在し、年間約25億立方メートルの天然ガスが生産されている。国産の天然ガス生産量は、国内供給量の約2.3%に相当する。
欧州の天然ガスは国産のものがかなりある。2013年での数字では、域内生産(オランダなど)が34%、ロシアからパイプラインで輸入されるのが29%、ロシア以外のパイプラインから輸入されるのが28%、LNGでの輸入が9%となっている。
いまEUはロシアからの石炭・石油の輸入を、ウクライナ問題へのペナルティーとして停止しようとしているが、それに加えて天然ガスの輸入停止も行う方向に向かっているようだ。しかし、天然ガスについては、域内生産量を急増させることは難しいから、米国や中東(カタールなど)からのLNG輸入とならざるを得ない。ロシアからの輸入依存度が50%を超えるドイツは、EUがロシアからの輸入停止方針を具体化させれば、LNGの輸入量を急増させなくてはならない。
ドイツはいまカタールからLNG輸入を増量させようと交渉しているようだが、その交渉が難航しているらしい。報道によると、その中核となる課題は契約の期間だという。カタールは20年という長期契約を求めているのに対し、カーボンニュートラルの早期達成を目指すドイツは、短期の契約で輸入したいのが本音となる。カタールからのLNG輸入を増やしたい国はドイツだけではない。おそらく日本もその方向だろう。
米国は欧州向けにLNG輸出を増量して支援しようとしているが、量的には不十分。それを補う量のLNGの一部を日本に求めている、ということは、米国からのLNG輸入の一部を、ドイツを初めとする欧州諸国に回さざるを得ないと言うことだ。日本は米国の要請にある程度は答えざるを得ない立場にあるのだから、今後ガスの消費を抑制する施策が導入されるかも知れない。
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