水素が将来のエネルギー源となるとよく言われるが、水素を製造する水電解装置のコストを考えると、そのグリーン価値を勘案しても、市場が大きくなるとは思えなかった。それについて、、調査会社の富士経済は2021年10月、次世代燃料として期待される水素関連市場の調査結果を発表した。それによると、2021年度の水素関連の国内市場は前年比4.6%増の183億円になるという。
今回の調査における水素関連市場とは、「水素燃料」、大規模水素輸送を対象とする「水素輸送」、商用水素ステーションや再エネ水素・P2G(Power to Gas)システムなどを対象とする「水素供給」、水素発電システムと車載関連機器(車載用燃料電池スタック、車載用水素センサー、車載用高圧容器)を対象とする「水素利用」の各市場で構成している。
2021年度の183億円という見込市場規模は、水素供給と水素利用が市場の大半を占める。水素供給では、商用水素ステーションが四大都市圏を中心に政府の掲げる「2020年度160箇所整備」を達成。水素利用では、FC(燃料電池)モビリティの多様化による需要増加、水素発電の実証実験が進んでいることなどが主なトピックとなった。
この規模については、まだ水素自動車が普及していない現在、それへの備えとして始まった水素充填設備も含めたものだろう。これが近い将来、水素の利用を拡大する基礎になると言うことだろうか。
2030年度には、液化水素やアンモニア、メチルシクロヘキサンの大規模輸送技術の実用化や水素ステーションの自立運営化の動きも予想され、水素の調達から利用、販売に至るサプライチェーンが整うことが予想される。そのため市場は、2035年度に2020年度比268.6倍の4兆7013億円と予測している。
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