効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■炭酸ガスの再利用

一昨日、燃焼ガスから取り出した炭酸ガスを捕捉し、それを地下深くに埋設する方法の開発について書いたが、ごみ処理施設や工場などの排ガス中の炭素を化学原料に再利用する「カーボンリサイクル」が実用化に近づくと報じられている。積水化学工業は米スタートアップの技術を生かし、ごみ処理時の排ガスをもとにプラスチック原料をつくる実証プラントを2022年度に本格稼働する。日本で開発された技術ではないのが残念だが、これが順調に進めば、世界に売れる技術になるはずだ。ごみが「都市油田」となり、焼却による二酸化炭素(CO2)を出さずにすむ。CO2を吸収したコンクリートなどが実用化されているが、低コストで付加価値の高い製品に再生できる技術が求められている。

積水化学は米スタートアップのランザテック(イリノイ州)の技術を利用する。INCJ(旧産業革新機構)との共同出資会社、積水バイオリファイナリーが岩手県久慈市にごみ処理施設の排ガスからエタノールをつくる実証プラントを建設している。標準的な施設で1日に扱う可燃ごみの約10分の1にあたる約20トンからエタノールを2000リットルつくる。

鍵を握るのはランザテックの微生物。ウサギのふんから見つけたもので、一酸化炭素(CO)と水素を取り込み、プラスチック原料に使えるエタノールをつくる性質がある。ごみを焼却すればCO2が出るが、積水化学は熱でごみをガス化するように工夫し、CO2を出さずCOと水素が生じるようにした。ごみには様々な物が混じりガスの成分を一定に保つのは難しいが、ガスの状態に応じて微生物を眠らせる技術を使い、安定した反応を実現した。ガス化する熱を化石燃料から作るのなら帳消しになるから、将来的には太陽の熱で高温を作れれば、などと空想する。

全国には候補のごみ処理施設が約1200あり、毎年30施設が更新されるという。積水化学は更新する施設を持つ自治体などに導入を働きかけ、25年度の事業化、30年代半ばに1000億円規模の事業を目指すと報じられている。

CO2自体を化学原料に再利用する取り組みも進む。米エネルギー大手オキシデンタル・ペトロリアム子会社のオキシー・ローカーボン・ベンチャーズ(OLCV)とバイオエンジニアリングのスタートアップのセンビタ・ファクトリーは、微生物を使ってCO2と水をもとにエチレンをつくる。生産規模月1トンの試験プラントを22年に建設するとこの4月に発表している。微生物にエチレンを合成する酵素をつくるバナナの遺伝子を加えた。バナナとは意外なものが利用されている。CO2と水を与えて光を当てると有機素材のエチレンができる。「商業化では年170万トンのCO2を使い約45万トンのエチレンを生産したい」(センビタ社)

IHIは鉄を含む触媒を使いCO2と水素からエチレンやプロピレンなどをつくる技術を開発した。セ氏300度の環境下でCO2と水素を反応させる。石油を使う従来法と同等の生産速度になり、1日あたり約1キログラムのCO2からエチレンやプロピレンなどを数十グラム合成できるという。

これまで埋める方策しかないように思われていたCO2が、原料になるということだが、後はコストと意味のある量のCO2消費量が達成できるかどうかが課題だろう。必要が新しい技術を生み出す好例のような気がする。

 

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