効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

落雷でも壊れない樹脂

山形大学宇宙航空研究開発機構JAXA)、三菱樹脂などの産官学の共同研究グループは、落雷に遭っても損傷しない炭素繊維強化樹脂を開発したと報じられている。プラスチックに炭素繊維を混ぜて強化した従来の炭素化樹脂は、通常は電気を通さない。このため落雷箇所が焼け焦げたり、大きな穴が開いたりすることがある。ところが、この研究グループは、電気を通す導電性樹脂で、常温では液体だが熱をかけると固まる性質を持つものを新たに開発し、炭素繊維を並べた隙間にこの樹脂を流しこみ、導電性の強化樹脂を作った。炭素繊維は電気を通しそうな感じだが、おそらく樹脂に組み込まれるときに分断されているために全体の電気抵抗が大きいのだろう。1万ボルトの電圧をかけると従来の強化樹脂は焼け焦げる一方、新開発の樹脂は全体に電気が流れ、ほとんど損傷しなかったという。樹脂の通電性が高くなっているということだが、炭素繊維は貢献しないのだろうか。炭素繊維強化樹脂は軽くて丈夫なことから、航空機や自動車を軽量化し、燃費を改善する構造材料として利用が広がりつつある。既に大型旅客機の主翼や胴体部分に実用化されているし、乗用車にも最近利用されるようになった。この記事は風力発電のブレード(翼)については触れていないが、風力発電のブレードに落雷すると、大きな損傷が起きることがある。この新素材を使ったものだと、耐久性がありながらしなやかで軽いブレードであっても、落雷では損傷しないものが作れるかも知れない。日本海側には雷がよく発生してブレードに落雷することがよくあるようで、対応策に頭を悩まされていると聞く。新開発の樹脂は強度向上が課題だが、量産化すれば一般的な強化樹脂より製造コストを減らせる見通しだというから、風力発電への応用が研究されないだろうか。