効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■ビーチの消失

 オーストラリアや米国カリフォルニア州での山火事が頻発しているのは地球温暖化に原因があるということは、人類に対する警告と見なされている。だが、AFPが報じたNatural Climate Changeのレポートは、世界のビーチ(砂浜)の消失について警鐘をならしている。気候変動によって海面が上昇し続けると、2100年迄に世界のビーチの半分が失われるだろうと予測しているようだ。いま議論されているような形で地球温暖化ガス排出量を大きく引き下げることができたとしても、3分の一のビーチは消失すると予測している。ビーチは世界中で観光地として知られているが、それよりも重要なことは、この砂浜が海岸線を襲う暴風や洪水を最初に食い止めてくれる障壁となっていることから、この消失によって、悪天候の影響を内陸部が直接受けることになるということだとしている。

 これへの対応を取り始めている国はまだ少なく、その技術もなく資金も無いところが殆どだというのが現実の姿だ。世界の沿岸部を持つ国は、大きな被害を受けることに対する備えをとらなければならないとしている。研究の結果で見ると、もっともその影響を受けるのは山火事と同じくオーストラリアになるらしい。同国には15,000キロの砂に覆われたビーチがあるが、これが今後80年の間に海面上昇で全て押し流されてしまうと言う結果が出ているようだ。それに続く国は、カナダ、チリ、米国であり、さらには、メキシコ、中国、ロシア、アルゼンチン、インド、ブラジルとなるらしい。

 砂浜は世界の沿岸部の3分の一を占めているが、その多くが人口の多い地域の近くにある。だが、沿岸部での工事、海面上昇、ハリケーンや台風によって砂が吹き飛ばされる、あるいは、上流のダムでせき止められた河川からの砂の供給の途絶、など、砂がなくなる原因は多い。このレポートでは、1984年からの宇宙衛星が撮影した映像で、ビーチの消失を計算してきたのだが、気候変動の動きに2つの要因を見出している。最悪は、永久凍土の溶解によりメタンなどの温暖化ガス排出が増大するということだ。それに次ぐのは、世界で温暖化ガスの排出にある程度の成功をして、平均気温の上昇を3度以内に抑えることができる場合だとしている。最悪の場合には2100年には世界のビーチの半分132,000kmは消失する。温暖化をある程度抑制できたとしても、2100年には95,000キロが消失するとしている。

 専門家の推定では、この数字はまだ楽観的かも知れず、対応策を強化しなければならないというのが結論のようだ。日本もその例外ではないだろう。