効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■浪江町の大規模水素生産が始まった

 昨年の3月24日に紹介した、大規模太陽光発電からの電力を使って水を電気分解させて水素を大量に製造する設備が、昨日3月7日に福島県浪江町で運用を開始したと報じられた。安倍首相もその開所式に参列したということだが、東日本大震災を回顧する式典に参加するのに合わせたもののようだ。生産される水素は東京五輪パラリンピックなどで活用する予定で、震災からの復興と環境配慮取り組みを国内外に示していくものだと想定されている。この「福島水素エネルギー研究フィールド」は東日本大震災の被害を受けた福島県浪江町に、新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO)の技術実証事業の一環で建設された。東芝東北電力のほか、岩谷産業が参加している。研究開発費を含む総事業費は200億円にのぼるとのこと。

 同施設では太陽光発電設備で発電した電気を使って水を分解し、水素を製造する。18万平方メートルの敷地内に計20メガワットの発電容量の太陽光パネルが設置されている。1日に、水素で走る燃料電池車(FCV)560台分を満タンにできる量を作れる。以前の情報では10メガワットということだったが、昨日の発表ではその2倍に増強されている。26日から始まる東京五輪パラリンピック聖火リレーの燃料に水素を使うほか、大会期間中は関係者らがトヨタ自動車の新型のFCV「ミライ」を利用するということだが、東京オリンピックが支障なく開催されることを祈るばかりというところだ。ここから東京までどのような方法で水素を輸送するかだが、岩谷産業は高圧タンクに入れて輸送するのだろう。低温液化も考えられるが、それに消費される電力が大きくなるし、液化水素を運ぶローリーのコストは高いはずだ。

 心配なのはオリンピック。日本で新型コロナウイルスが終息しても、参加国の中でまだ感染者が出ているようであれば、参加国の数が激減するかも知れない。現時点では、世界で感染者の数が10万人を越えたそうだし、まだ拡大することは確かだろう。それがピークから減る方向に向かうのが4月頃でなければ、東京オリンピックの開催が難しくなるかも知れない。