効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■蓄電池で航海するフェリー

 先月、商船三井LNGを燃料にして走るフェリーを建造することになったと書いたが、蓄電池で走るフェリーが登場していると知った。米国ワシントン州が運用する世界で2番目の事業規模を持つWashington State Ferriesが、現在使用している燃料であるディーゼル油で走るフェリーがエンジン改修時期に入った機会を捉えて、大型蓄電池で走行するフェリーに転換する。これによって、大気汚染はゼロになるだけでなく、コストも下がるということだ。この州営フェリー事業が消費してきたディーゼル油の量は、中規模のエアラインの消費と同じ位だった。フェリーを22隻運用している。蓄電池で走行することで、船の静粛度も飛躍的に改善するという効果も出るらしい。

 当初2012年頃には、蓄電池とのハイブリッド、あるいは、LNGを燃料にすることも検討されたようだが、州政府がゼロエミッションを標榜していることもあって、蓄電池の電気だけで走行することにし、充電設備を寄港地にも設置し始めている。改修工事は進行中で、ここ1~2年でこの蓄電池フェリーが就航することになるという。充電基地を建設するだけでなく、それに必要な電力の調達も、その港へ電力を供給する電力事業と交渉する必要があり、前例がないだけになかなか電力購入契約が出来なかったそうだ。いま保有するフェリー3隻の改修に取りかかっているが、蓄電池システムはジーメンスが製造したものとなる。

 カナダのBritish Columbia Ferry Services(これは民営)も、これまで進めてきたLNGへの燃料転換を見直して蓄電池に切り替える方向に進んでいるという。欧州でもゼロエミッション政策に沿って船舶の蓄電池駆動を具体化しているのがデンマークだし、英国も2025年以降に建造される船舶は全てエミッションフリーにする指令を出している。このような動向によって、船舶用蓄電池の技術開発も急速に進むと予想される。

 冒頭に書いた日本のLNG船に先進性があると思っていたのだが、どうも世界の動きに遅れをとっているのかも知れない。

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Washinton State Ferriesの船

 

 

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