効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■英国で大規模なブラックアウト

今日受け取った英国の新聞The Guardianのウエブ版で知ったのだが、先週金曜日の午後5時に、英国では2015年以来とされる大規模な停電が起き、300万の需要家が電気を使えなくなり、交通機関も大混乱に陥ったそうだ。これ以前からブラックアウト寸前までになることが頻発していたようで、規制当局が調査に入っているという。これが日本で報道されないのが不思議だが、このブラックアウトの可能性は、系統の管理をしているNational Gridではその可能性を可成り前から憂慮していたそうだから、これまで有効な手を打たなかったとして批判が高まっているとしている。

この直接的な原因は、2つのガス火力発電所がほぼ同じタイミングで停止したことによって起きたもののようだ。その前から、英国の電力系統の周波数がブラックアウトの可能性の限界まで低下する現象が頻発していた。英国の電力周波数は50Hz(ヘルツ)だが、それがこの数か月の間に危険限界である49.6Hzを3回にわたって下回ることが起きていた。金曜日に起きたブラックアウトの時には、その数値が48.88ヘルツまで下がっていたようだ。このような状態になると、その地域の発電所の出力を急いで上昇させて周波数を上げなければならないのだが、それが間に合わなかったためにさらに周波数が下がり、稼働中の発電所も発電機が壊れないようにする自己防衛として発電機を系統から切り離してしまったのだった。それが連鎖的に他の発電所の停止を招き、大規模なブラックアウトとなったものだ。

この6月にも、3基のガス火力が前兆なく送電系統から分離されたたために、周波数が49.5Hzブラックアウト寸前までという状態になったとも報じられている。5月9日には周波数が49.55Hz、7月11日には49.58Hzという限界状態になる事態も起きていたようだ。National Gridは、前兆はなかったとしているが、これほど頻繁に限界周波数以下に下がる事態が起きた原因を規制当局は追及しようとしている。

北海道での地震で起きたブラックアウトは、震源地のすぐ近くに火力発電所があって、それが振動で急停止したことで起きたもので、最初の原因ははっきりしている。その波及を防げなかったのを批判するのは気の毒だが、この英国の場合には、設備の維持管理と制御がうまく行われていなかったことに原因があるようで、規制当局も詳細な調査報告を出すようにNational Gridに求めているのは当然だろう。一つの原因は英国で急速に設置が進んだ風力発電の出力変動抑制策が不十分だったという指摘もあり、今後どのようなバックアップ方式をとるかが検討されるだろう。日本にも参考になる結果が出るかも知れない。

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