効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■清水建設、世界最大級・高効率の自航式SEP船を建造

 清水建設が洋上風力発電建設に向けた専用船を建設すると報じた時事通信の記事を見て、清水建設のプレスレリースにアクセスしたが、日本でもこれから洋上風力発電の建設が進むのに対応する建設船を建造することとその詳細を知ることができた。

今後世界で5兆円超の市場規模となる洋上風力発電施設建設工事の受注に向け、約500億円を投じ、超大型洋上風車の建設に対応できる世界最大級の搭載能力及びクレーン能力を備えた高効率の自航式SEP船(Self-Elevating Platform:自己昇降式作業船)の建造に来月にも着手し、完成は2022年10月の予定だということだ。日本では、本年4月に洋上風力新法が施行され、洋上風力発電市場の急速な拡大が見込まれている。同社が建設に踏み切った背景は、すでに欧州では大型とされる6~8MW(メガワット)級の洋上風車による発電施設が商用化されており、また、欧州の発電事業者及び風車メーカーは、将来、固定価格買取制度(FIT)に頼らなくても事業採算を確保できるように、9~12MW級の超大型風車の計画を進め、我が国でも、今後の発電単価の削減と限られた建設海域での事業規模・採算を勘案すると、欧州同様に8MW級以上の風車が必須となっているとの想定がある。

 現在、日本には8MW級以上の風車建設に対応できるSEP船がなく、欧州のSEP船を利用しようとしても現地での需要が高いために確保が難しい。そこで、国内で利用できる専用船の建設を決意したということのようだ。建造するSEP船は、全幅50m、全長142m、総トン数28,000t、クレーンの最大揚重能力は2,500t、最高揚重高さは158mで、世界有数の作業性能を備えている。水深10~65mの海域での作業に対応でき、作業時には4本の脚を海底に着床させ、船体をジャッキアップさせることで海面から切り離し、波浪に左右されない作業条件を確保することができる。大きな脚立に船を載せて固定させると考えれば良いのだろう。その現地までは資材を載せて運航し、現地に着くと脚を伸ばすことになる。予備日をみても8MW風車の場合は7基を10日、12MWの場合は3基を5日で据え付け可能だということだ。SEP船の建造計画にあたっては、2018年10月から欧州の設計会社(GustoMSC)の協力を得て仕様検討・設計を行ない、建造はジャパンマリンユナイテッド(株)に発注している。

 この船が引く手数多になるほどの洋上風力発電建設プロジェクトが実現してほしいものだ。