インドのエネルギー状況を伝えるメール情報が時々届くのだが、今日来たものにインドが自動車などの電動化に力を入れようとしていることを知らせるものがあった。現時点で、インドの自動車産業は停滞していると言われているのだが、政府は将来について楽観的で、いずれ電気自動車ではデトロイトの地位を占めるようになるとしている。それに向けた政策目標も示されているのだが、その楽観論にはかなりの疑問を感じる。
電気自動車の普及を促進するためには、まず購入時のイニシャルコストを下げ、さらにはランニングコストも下げないといけない。現状の数字が示されているが、中国では電気自動車が全体の2%、ノルウェーが39%であるのに対し、インドのそれは僅か0.06%でしかないらしい。少し刺激を与えれば大幅に伸びる余地が大きいと見ることもできなくはない。とは言え、少なからず前途遼遠のようだ。
普及を促進するためにまずしなければならないのは、充電ステーションの数の増強だとされている。さらにインドの気候条件や使用条件に即した蓄電池の開発も必要だとされている。一方、インドの自動車の1日走行距離が21kmであることに対する現実的の方向として、公共用充電スタンドは必ずしも増強する必要はなく、自宅や事業所にある個別の充電設備の普及に力を入れるべきだとする意見もあるらしい、
自動車の電動化についての政府方針は、2023年迄に三輪自動車全て(新車)を電動化し、150cc以下の二輪車を2025年迄に同様に電動化するとなっている。運輸部門でのインドのCO2エミッションの排出量が、工業部門に次いで大きく、かつ、道路輸送部門が運輸部門のCO2エミッションの90%を占めているために、電気自動車の普及に力を入れている。人口一人当たりのエネルギー消費量も非常に低く、中進国になるためには、現在の2.5倍のエネルギー消費が求められているが、その強化策の一つが自動車の電動化とその普及とされているようだ。