効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■燃料電池バス

 東京都が来年のオリンピック会場周辺で燃料電池バスを多数走らせるという計画を示しているが、どのような形で具体化するかは必ずしも明確ではない。現時点ではトヨタがバスを開発して運行しているが、まだ数台だろう。

 この間、燃料電池で駆動する列車のことを紹介したが、今度は、欧州で燃料電池バスが急速に普及するかも知れない。というのは、つい最近、欧州で燃料電池バス開発のコンソーシアム(H2Bus Consortium)が設立されたという情報に接したからだ。そのコンソーシアムは、Ballard Power Systems Inc., Hexagon Composites ASA, Wrightbus Ltd., Ryse Hydrogen Ltd. and Everfuel Europe ASなど、燃料電池、水素製造輸送、バス製造関連の企業で構成されている。ここにカナダのBallard社が参画しているのが興味深い。ドイツで実路線を昨年9月から定期的に走り始めたフランスのAlstom社製の列車に搭載された燃料電池には、同じカナダの競争相手であるHydrogenicsが開発した燃料電池が採用されたのに対抗する目的があるようにも見えるからだ。英国でも燃料電池列車の導入が近づいているが、ここでもこの両者が競合している。

 また、中国で既に量産化が進んでいる燃料電池バスや路面電車に搭載されている燃料電池に関しても、両社はその技術輸出を進め、中国企業燃料電池を作ることが出来るようになっている。バスでは既に1,000台を超えた数があるそうだが、水素の製造輸送の体制が整っていないために、半分ほどしか運行していないとも聞いている。中国としては、発電された電力を捨てるほど普及した再エネ電源の有効利用のために、大規模な水素製造設備を必要としているが、最近大規模製造設備が完成したそうだ。

 日本ではまだ規模の大きな燃料電池の導入は進展していない。列車もバスも世界の動きに取り残されないように対応してほしいものだ。

 

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