効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■燃料電池シンポジウムでの印象

2日間の燃料電池シンポジウムが終わった。(少し早く会場を出たが)。今年で26回目。これまでこの殆どに参加してきたが、その発足時の先輩にも会うことができた。今年は燃料電池の技術関連だけでなく、水素利用システムとしての燃料電池の位置づけ感が強かった。特に定置用電源としての燃料電池は、一応の商品化も達成したことから、これから移動体の動力として利用するシステムはどうあるべきかが論じられるセッションが増えている。

移動体の内容は、自動車、バス、トラック、大小の船舶、列車、路面電車などがあり、さらにはドローンに使われる燃料電池も語られた。さらには航空機にも搭載されるだろう。

燃料電池は当初発電効率と総合効率の高い固定電源として開発された。電力事業はできるだけ大きな規模にしようとしたのだが、規模の拡大でコストが下がるという発想が支配していたからだろう。だが、ガス事業はそれを小規模な電源システムで排熱も利用することで総合効率を上げる開発を進めたが、電力系統に受け入れられるまでは制約条件が多いものだった。二日目の午後、これまでの50年、これからの50年と題したパネルセッションがあったが、これ自体はかなり技術開発中心のものだった。だが、自分には、これまでの50年は、集中から分散へ、大規模から小規模へ、熱利用の手段の多様化の時代だった。だが、これからの50年は、水素を利用する多様なモビリティを動かす電源として、蓄電池やキャパシターとの組み合わせで、燃料電池の特性を極限まで追求しようとする時代になるだろうと感じた。

それに加えて、これまでそれほどの危機感がなかった地球温暖化問題が深刻化し、それに対応するシステムとしての有効性が認められる50年になるだろうと思う。

今年から海外の燃料電池応用例が多く語られたし、質問が中国語でされ、通訳が準備されていたというのも初めて。また、技術開発について、女性がプレゼンテーションをしたのも初めてではないかと思う。燃料電池はこれから中国で急速な開発商品かが進むのではないか。それは、利用できていない風力、太陽光発電が大量にあることから、それを水素に変換する必要性が極めて高く、中央、地方の政府の支援も行われているからだ。また、副生水素が集積している地域も多いために、それの有効利用にも燃料電池が最適だからだ。

今後、水素利用システムとしての燃料電池の開発商品化が急速に進展するだろう。