国際エネルギー機関(IEA)は世界全体のエネルギーとCO2に関する現況報告をこの3月に発表している。英文だが、IEAのBookshopから無料でダウンロードできる。
それによると、2018年での世界全体のエネルギー需要は2.3%増加したが、2010年からの伸びの平均の2倍の大きさということだ。世界経済が極めて好調であり、一部地域における冷暖房の需要が増加したことなどがエネルギー需要増加の原因としている。エネルギー需要はすべての燃料に対して増加しており、化石燃料は17年に続き、成長した分の約70%を賄っている。増加した燃料のうち45%は天然ガスが占めている。
世界中で増加する電力需要の伸びに電力の供給が追い付かず、石炭の消費も増加している。その結果、18年の温室効果ガス排出量は世界全体で1.7%増加し33ギガトン(Gt)となった。石炭火力発電による排出量は10Gtを超え、全排出量の約3分の1を占めた。エネルギー需要の増分のうち約20%は冷暖房の需要が高まったことに起因しており、これは一部の地域における冬季や夏季の平均気温が過去の記録以上に低かったり高かったりしたためだとしている。冬季の寒波が暖房需要を活発化させ、夏季の気温上昇が冷房需要を押し上げたからだ。
石油の消費は1.8%の伸びを示したが、この大本は米国で大幅に伸びたことにあるようだ。天然ガスは金融危機の時期に低迷していたものが2010年に回復して以来最大の4.6%増大。エネルギー需要の増大に加えて、石炭を代替する燃料としての増加も大きい。石炭も2年続けて増加しているが、エネルギー供給に占める役割は下がっている。
再生可能エネルギーでは2018年に4%増加し、世界のエネルギー需要増加の4分の一を賄うまでになっている。再エネによる電力の伸びがこの10年間もっとも大きくなっている。世界の太陽光と風力がいずれも2ケタ成長を示し、需要は太陽光だけで31%増加したという。地域別では、これまで通り中国が再エネのけん引役である。風力と太陽光のいずれについても中国がトップで、欧州や米国が続く。