効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

世界のCO2排出量横ばい

IEA(国際エネルギー機関)がこの3月16日に、これまで増加を続けてきた地球温暖化の主たる原因であるCO2排出量が、2015年の速報数字によると、2年続けて横ばいとなったと発表している。世界の経済成長は続いているにもかかわらず、CO2排出量が増えなかったというのは、経済が成長すればCO2排出量は増えると言われていた常識が覆ったことになる。その主たる要因はCO2を排出しない再生可能エネルギーの利用が拡大したことにある。これまで増加が続いていた世界最大の排出国中国からのものが、1.5%減少したのが特筆されるべきだろう。14年と15年の世界経済はそれぞれ前年と比べて約3%成長したが、14年、15年ともに13年と同じ321億トンだった。この過去データが図表として公表されているが、http://www.iea.org/newsroomandevents/pressreleases/2016/march/decoupling-of-global-emissions-and-economic-growth-confirmed.html で参照することができる。排出量の多い国である米国、中国でともにエネルギー関連の排出が減少している。中国が2年続けて減少したのは、CO2排出量が多い石炭の利用が減った一方で、水力発電風力発電が増えたためだと見られる。同国では、再生エネなどCO2排出量の少ない電源の割合は、11年の19%から15年には28%と大幅に伸びている。その一方でアジアの発展途上国や中東、欧州で排出量が増えている。中国の風力、太陽光発電設備の急増は知っていたが、ここまでの結果に結びついたことには驚きだ。日本の政府や経済界も、経済成長のためにはCO2排出量の増加は仕方がないというこれまでの主張を変えざるを得なくなるだろう。COP21のパリ協定で示した目標の達成にいっそう努力が求められる。