効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■熱利用の効率化

熱は目に見えないし、エネルギー量として計測することも簡単ではない。だから、気づかずに熱を無駄に放散しているケースは、製造業などでは非常に多い。それに気づいて貰うためだろう、この3月4日、新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO)が発表しているが、未利用熱活用技術の産業分野などへの適用と普及促進の方策立案による省エネ化を促進するため、熱利用量の多い15業種を対象に未利用熱の排出・活用状況に関するアンケートを実施し、全国1273事業所の回答から得られた分析結果を報告書として出している。

報告書では、15業種の業種別、温度帯別、設備別の未利用熱の排出・活用に関する実態が明らかになったほか、200℃未満の未利用熱量(排ガス熱量)が未利用熱量合計の76%を占めていることも判明し、今後、これら未利用熱の活用技術が開発、導入されることで、国内の産業分野の省エネに大きく貢献できることが分かったということだ。ここで未利用熱と表現されている熱は、全く意識しないで製造プロセスなどから放散させている熱のことで、これが未利用だと気づくことができれば、意外に大きなコストダウンが出来るはずだ。

1970年代の2度の石油危機を大きなきっかけとして、日本のエネルギー消費効率は大きく改善され、乾いた雑巾をさらに絞るのは難しいといわれるようになった。しかし、電力消費にはこの表現が当てはまるケースが多いが、熱については当初の設計を熱損失が減るように見直していない事業所は多いと言われる。例えば、熱を移動させる配管の断熱材の効果の検証をするなどだが、一応断熱材が取り付けてあればそれで良しとして無頓着になるのが普通。排熱の回収・再利用が不十分な生産現場も多いことが調査で分かったとのことだ。具体的には、溶解や熱処理を伴う鉄鋼業、非鉄金属業、輸送機械業は500℃以上の高温の排ガスも多いことや、焼却を伴う清掃業やその他の製造業からは150~249℃に集中する形で比較的高温の排ガスが排出されているということなど。また、以前の調査と比較すると、2015年の15業種全体の排ガス熱量は、2000年から約14%低下しており、2015年までの15年間に1割程度の省エネルギーが達成されていることが推測されたようだが、これをどのように評価するかが今後の熱回収の進展に影響するだろう。

熱を金額換算できるシステムの開発ができれば良いのだが。