効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■タイで使用済み自動車のリサイクル実証事業を開始へ

これは先ほど入ってきた新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO)のメール情報のタイトルだが、NEDOとタイ工業省(MOI)、工業団地公社(IEAT)は、2月8日、使用済み自動車(ELV)リサイクルの実証事業を、首都バンコクとその周辺地域において実施することに合意し、基本協定書(MOU)を締結したということだ。アジア諸国では、経済成長と共に自動車の数が増えている、ということは認識していたが、その後から廃車の数も増えていくということにまで思いが至っていなかったことに気づかされた。

この実証事業では、タイ国内において、環境に配慮した使用済み自動車解体プロセスの導入や、関連する制度設計への協力を実施し、さらに、同国内で処理できない有用資源を日本で再資源化することで国際資源循環を実現し、タイをはじめとするアジア諸国におけるリサイクルモデルの確立を目指している。タイなどでも解体業は当然あるはずだが、その方式に制度的な裏付けがないのだろう。最近の自動車にはほとんどクーラーが取り付けられているが、その冷媒は、フロン、代替フロンを問わず、漏洩しないように回収しなければ、地球環境を汚染することになる。これに関連した法規制も整備されていないようだ。

初めて見た用語があった。ELVだ。注釈にEnd of Life Vehicleとあって初めて理解できた。日本語の解説では使用済み自動車とあったが、廃車と理解しても良いだろう。ELVの解体は手作業を中心とした労働集約的な作業が場当たり的に行われているため、ELVからの資源回収が十分に行われていないほか、今後の増加が見込まれるELVに対して処理能力不足に陥ることが予測されている。この実証事業は、2016年度から実施している「アジア省エネルギー型資源循環制度導入実証事業」のテーマの一つとして実施するもので、2017年度に実施した実現可能性調査(FS)の結果をもとに、外部専門家による審査を経て、2018年度から3年間の予定で実施することになっている。

日本の関連する制度や技術の移植ということだが、日本で廃車の処理がどのように行われているかについての情報をほとんど知らないことに気が付き愕然としたのも事実。冷媒回収や資源回収が日本でどの程度確実に行われているのだろうか。タイよりも進んではいることは確かだろうが、ひょっとすると、あまり外部に出しにくい実情もあるような感じもする。とはいえ、このような形で発展途上国への協力を行うのは、原発技術の輸出よりも意味があると思う。確実な成果が出ることを期待したい。