効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■電池交換式のEVゴミ収集車

電気自動車は充電に時間がかかり、航続距離が短いというのが、現時点での欠点で、普及の足を引っ張っていることは事実だろう。だが、自家用の乗用車の場合には、ガソリン車で言われるような一回の燃料補給で4~500キロ走れる必要性は殆どなく、ほぼ全てが自宅で充電することで運用が可能であるはずだ。しかし、事業用のトラックとかバスなどは、利用しにくさの原因となる。電気自動車の開発初期には、どうして蓄電池交換式にしないのかと思っていたが、世界共通の基準を設定することが難しかったのだろうと思う。それからみて興味ある報道記事があった。

車載用電池を手掛けるオートモーティブエナジーサプライ(AESC)などは電気自動車(EV)の電池を着脱するシステムを開発したというものだ。川崎市が2月から全国の自治体で初めて運用を始めるEVごみ収集車に搭載する。充電に時間がかかるEVの課題を電池交換式にすることで解消できる。鉄道車両に電気を流す電気連結器を手掛けるユタカ製作所やJFEエンジニアリングなどと開発したものだ。充電する代わりに電池を着脱する仕組みで、ロボットが電池上部に付いた突起をつかんで充電済みの電池と交換する。交換にかかる時間は3分以内だという。この方式はEVの開発初期にオーストラリアで実証試験が行われていたが、消えてしまった。自動車メーカーがこの方式に興味を示さなかったのだろう。

ごみ収集車などの商用車は乗用車と比べ、1日の走行時間が長い。近年は車載電池の技術が向上して航続距離の短さは解消されてきているが、充電時間を確保しにくい。商用車メーカーが開発・試作するEVの多くは荷台の下部に車載用電池を置くが、EVごみ収集車は運転席のある「キャブ」の部分と荷台の間に電池を搭載している。ユタカ製作所は鉄道車両同士で電気や運行データをやり取りする連結器を手掛けていて、車両の着脱時に電気の回路を瞬時に切り替える技術を持っている。ユタカ製作所の持つ連結器の技術を車載電池の着脱に応用し、AESCは着脱しやすい形状の電池開発を担当した。

川崎市は今回のシステムを搭載したEVゴミ収集車2台の運用を始める。いすゞ自動車製のゴミ収集車をもとに着脱式の電池を搭載しており、JFEエンジニアリングが電池を充電・交換するための施設を整備した。この方式は電池の形状さえ標準化されれば、電池性能が今後向上しても継続して同じ方式を使えるはずだ。ゴミ収集車のように出発基地がある業務用トラックやバスなども同じ方式を採用する事業者が出てくるのではないかと思う。