効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■フレキシブル太陽電池を装着した「発電スーツ」

理化学研究所は、AOKI、東レ、Xenomaと共同で、高性能なフレキシブル有機太陽電池を紳士服の上着に装着し、デザイン性と機能性を両立した発電する紳士服「発電スーツ」の試作に成功したと発表している。このような商品の開発はいずれ行われるだろうと以前から思っていたのだが、日用品で安全性も含めて商品化に踏み切るのには勇気がいっただろうと思う。

試作した発電スーツでは、左右に5個ずつ(合計10個)の太陽電池モジュールが紳士服の上着の背面に装着されている。この太陽電池モジュールは、太陽光や周辺からの光を受けて発電し、1つのモジュールについて、疑似太陽光下で最大28mWの発電量を達成したため、実際に発電スーツ上に装着されたすべてのモジュールが最大出力を達成した場合、280mWの発電量に相当する。また、モジュールの厚みが約15μm(1,000分の1mm)しかないため、くにゃくにゃと曲げることができる。この有機太陽電池を紳士服上着に貼りつける技術を開発し、紳士服の製造工程で壊さずに生地に実装することによって、布地の風合いを損なわないデザイン性と機能性の両立が可能となった。

自分が考えていたのは、発電する繊維を布地に組み込む方式だったが、貼り付けても目立たないのであれば、その方が簡単だろう。かえって太陽電池を使っていると分かる方が良い人もいるかもしれない。貼り付けるのは簡単だろうが、それを相互に連結させて、多目的に使えるセンサー類を駆動するのに使えるから、紳士服以外にも利用できるはずだ。逆に紳士服以外の分野への応用の仕方が多いようにも感じる。今回の開発品では蓄電池は利用しないようだ。充電の必要があるという点が、使用者の使い勝手の良さを損なう要因となっているとの判断だそうだが、これに適した蓄電池も既に開発されているのではないか。

有機太陽電池は、有機半導体半導体の特性と持つ有機物)を光電変換層として用いた太陽電池のことで、塗布プロセスによる大量生産が適用できると同時に、安価かつ軽量で柔らかい、カラフルといった特長を持つが、変換効率と耐久性の向上が課題となっている。今後の展開が楽しみだ。