カリフォルニア大学バークレー校の研究者が、新たに開発した水を分解して水素を製造する時に使われる触媒として極めて強力な、白金に匹敵する効果を発揮する触媒を、極めて安価なゼラチンを素材に利用して開発したと云うことだ。その触媒は、ナノメーターという極めて薄い金属カーバイドの薄膜だが、その製作過程でゼラチンが利用されている。二枚の薄い金属カーバイドの電極が水を電気分解するのだが、バークレー校の研究者は、この金属カーバイドの薄膜を作るのに、どこでも入手できるゼラチンを利用できることを発見したのだ。
これまでに使われてきた高価な白金に代わるものを探していたのだが、食べることが出来るゼラチンを、地球に豊富に存在するある素材と反応させることによって、それを作ることが出来たという。
水を電気分解して得られる水素は、燃料電池の燃料に使われるし、電気分解を不規則に出力が変動する再エネからの電力を利用することで、蓄電効果と系統安定効果を発揮できる。それが今回発明された触媒を使うことが出来れば、水素の製造コストが大幅に下がることになる。よく水の電気分解の実験で使われるような、2本の電極を水に突っ込んで行う方式は、水素を発生させる効率が極めて低いらしい。また、水性ガスから水素を得る工業的な手法も、炭酸ガスが副産物として発生するために今後このプロセスを拡大するわけにはいかない。
今回の発明が商品化されれば、水素社会の実現が大きく近づくことになるだろう。