太陽光エネルギーで水素を作る方法で現在実用化されているのは、太陽光発電からの電気で水を電気分解する方式だが、このほど、空気中の水分(水蒸気)を太陽光のエネルギーを使って直接分解して水素を作る技術の開発が行われているという。この技術は、オランダの基礎エネルギー研究所とトヨタ・ヨーロッパが共同で開発しようとしているもので、開発資金がファンドから提供されるようになったということだ。いわば空気から水素を製造する技術で、水分を吸収し、分解する力を持つ薄膜状の半導体に太陽光をあてると、光のエネルギーを使って水素を作り出すというもののようだ。
水の電気分解であれば、純水が必要だし、それを分解する電極やそれを収納するものも必要となるが、この新しい方式であれば、ゴミ成分を除去するだけで水素を作ることが出来る。水が乏しい地域でも、大気中には湿分があるから、場所を選ばない。この水素を保存しておいて、電力需要が大きくなったときに燃料電池で発電させれば、カーボンを排出しない発電が実現できる。現時点で水の電気分解方式の70%に相当する分解性能を示しているという。
この方式では発電をするわけではないから、今日九州電力が行ったような太陽光発電の出力抑制をする必要もなくなる。新しい形の水素燃料発電設備が生まれようとしているのだが、早期の実用化を期待したい。