効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

蓄電に使う溶融塩

丸紅は10月2日、エネルギー総合工学研究所より「熱を活用した次世代型蓄エネルギー技術の開発・実証」の一部業務を受託したと発表した。これは、低コストな蓄エネルギー手段として「熱」に着目し、溶融塩(常温で固体の塩類を数百度に加熱し液体状態としたもの)などを用いて電力を熱に変換して蓄え、必要な時に再度電気に変換するという新たな自立・分散型の次世代蓄熱技術の開発・実証を行う。天候や時間帯で発電量が大きく変動する太陽光発電風力発電などの再生可能エネルギー発電は、電力を安定的に利用するために蓄電池などによる蓄エネルギー技術の開発・活用が行われているが、現時点では主にコストが課題である。そのため同事業による蓄熱技術推進により、太陽光・風力発電などの電力を低コストで安定的に利用できると共に、再生可能エネルギー由来の熱利用による熱源の低炭素化を実現することで、CO2排出量削減への貢献が期待されると報じられている。
この溶融塩で熱を蓄え、それを利用して発電するのは、集光型太陽光発電には世界的に実用化されている。集光型の場合、反射光を集中させることによって高圧の水蒸気を発生させてタービンを回して発電するのだが、その熱の一部を塩類の溶融に使い保存しておき、太陽が沈んで後、必要に応じて高温の溶融塩で高圧水蒸気を発生させることによって発電する方式だ。砂漠地帯に多く利用されており、日本のように柔らかな太陽光がある地域では高温が得られないので溶融塩発電は難しい。しかし、太陽光・風力発電の電力で塩類を溶融することができれば、自然エネルギーによる高温熱で蓄電することが出来る。溶融塩で水蒸気発電をするか、熱電素子を使った発電するかは、電力需要の大きさとコストによって選択することになるだろう。実用化が早期にできればコストのかかる蓄電池より安く蓄電・放電が出来るだろう。