効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

燃料電池用の触媒コストの引き下げ

電気通信大学の岩沢康裕特任教授らは燃料電池に使う安価な触媒を開発したと報じられている。燃料電池自動車などに使われる燃料電池はいま固体電解質型のセルが使用され、自動車だけでなく、今後再エネからの電力を使って作る水素で発電するにも利用が拡大するだろう。この燃料電池の課題の一つは、そこで使われるイオン交換膜の触媒に白金が使われ、それが全体のコストを押し上げている。世界でこの白金使用量を引き下げる研究が行われているが、それに一石を投じたものだと思う。触媒に含まれる高価な白金の使用量が従来の約40分の1になり、しかも、壊れにくく寿命も延びたという。研究チームは白金とニッケルを有機溶媒に入れてセ氏130度で12時間加熱し、大きさ約9ナノ(ナノは10億分の1)メートルの粒子を作製。これを直径数マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルのコイル状の炭素材料に付けて触媒にした。発電にかかわる反応の効率は従来の約30倍に高まった一方、触媒に使う白金は25%減り、40分の1の使用量で既存品と同等の性能を発揮できるということだ。発電と停止を5万回繰り返しても、効率はほぼ落ちない。既存品は1万回で約4割下がるという。少し不満なのは実用化時期の目標だ。量産技術などを確立して2030年ごろの実用化を目指すとしているが、もう少し早く量産技術を確立できないだろうか。燃料電池業界の関心と関与次第かも知れないが。