効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

*NEDO住友電工がレドックスフロー蓄電池を米国で実証

住友電工が永年レドックスフロー(RF)電池の開発を続けてきたことは以前にも書いたことがある。この電池は、蓄電容量の設定も簡単だし、電圧や周波数変動の抑制にも力を発揮する柔軟な蓄電池だが、いかんせん、この電解液に使われる酸化バナジウムの価格が高く、コスト的に他のシステムと対抗できなかった。この課題が少しは解消されたのかどうか分からないが、NEDO住友電気工業は、長寿命かつ大型化に適した定置用蓄電池「レドックスフロー電池(RF電池)」を米国カリフォルニア州の電力卸売市場に接続し、最も収益が見込める運用手法を検証するための実証運転を開始すると18日に発表した。

実証では運用上、充放電の深度や回数に制約がないというRF電池の特長を生かし、電力卸売市場が求める周波数調整などの調整力や、エネルギー取引による供給力を最適に組み合わせて提供し、RF電池の経済的価値を高める手法を検証していくとしている。NEDOは2015年9月に米国カリフォルニア州の経済促進知事室(GO-Biz)と基本協定書(MOU)を締結し、住友電気工業を委託先として、同州サンディエゴでレドックスフロー電池の普及展開に向けた実証事業を進めてきた。ここにあるSDG&E社の変電所に2MW/8MWh規模のものを設置して実証してきたのだが、このほど、蓄電池の基礎特性や信頼性の評価を完了し、続いて、SDG&E社と協力して、カリフォルニア州独立系統運用機関(CAISO:California Independent System Operator)の開設する電力卸売市場に接続できるよう技術的、事務的な申請作業も並行して進めてきた。このRF電池の接続申請手続きが完了したことにより、このプロジェクトは第2段階としてCAISOが開設する電力卸売市場での取引を開始したものだ。

系統安定化に向けたアンシラリーサービスの評価が高ければ、蓄電池の価格が高くても系統運用機関がそれに見合った価格で買い取ってくれれば運用継続ができる。

また、住友電工からこの間聞いたところでは、バナジウムを代替する安価な素材の開発ができたと言うことだから、その材料を使ったフロー電池が商品化されれば大きな市場が開けるかも知れない。